浮世絵に描かれた「凌雲閣」
浮世絵ではその時代の流行りものや風俗を知ることができます。
明治時代に浅草を描いた浮世絵の中に登場する、ひときわ高い建物が「凌雲閣」です。
周延 「浅草公園遊覧之図」
凌雲閣(りょううんかく)は明治時代に建てられた12階建ての眺望用の高層建築物です。
1890年に建てられ、高さは52m,日本初のエレベーターも設置していました。
また、日本初の美人コンテストもここで開かれました。
名前は「雲を凌ぐほど」高いというところから。1〜10階はレンガ造、11〜12階は木造でした。
国輝Ⅲ「東京名勝浅草観音之図」
浅草にあったため「浅草十二階」とも言われ、
大阪、新世界の通天閣(初代)、神戸、新開地の神戸タワーとともに「日本三大望楼」と称されました。
また凌雲閣は役者絵の一部としても描かれています。
国政Ⅳ (国貞Ⅲ)「風船乗評判高楼」
1890(明治23)年10月、横浜公園にてイギリス人・スペンサーによって日本初の軽気球乗りの妙技が行われました。
この興行の評判が非常に高かったため、五代目尾上菊五郎は大変な興味を持ち、この風船乗りを取り入れて、
河竹黙阿弥による演目が書き下ろされ上演されました。
浮世絵にしても、歌舞伎にしてもその時の流行りを取り入れ、いち早く伝えるという点では
通づるものがありますね。
さて、この凌雲閣ですが、1923年の関東大震災で半壊したため解体されたた、今この姿を望むことはできません。