婦人グラフと竹久夢二
幅広い人気がある竹久夢二。
版画の入荷があり、新着作品をしてご紹介しています。
竹久夢二 冬(雪の風)
こうした版画は独立した作品ではなく、
大正13年から昭和3年まで国際情報社から刊行された婦人雑誌「婦人グラフ」の表紙や挿絵に使われた木版画(のちにオフセット印刷)です。
「婦人グラフ」は、主に富裕層の女性が購買層で、流行のファッションやニュース、小説、華族・名家の夫人や令嬢のグラビアなどを掲載した高級グラビア誌、表紙や挿絵は竹久夢二のほか、や伊東深水、蕗谷虹児らも手掛けていました。
版画は雑誌そのものには貼り付けてあるため、今、市場に出回っている作品はこうした雑誌から剥がしたものです。
実際の表紙はこんな感じです。
竹久夢二 「婦人グラフ 第一巻第八号」
小さなカットも木版画を張り込む贅沢な作りです。
ところで、こうした木版画は実は「機械摺り」なのです。
彫師が実際に彫った木版を機械にセットし、水性絵具(メディウムに糊や水飴を加えた)を使用した一転水性機械刷り木版。
この手法はジョネー・岡田(打田とも)という職人によって発明されたそうです。
ちなみに機械摺りとはいえ、つきっきりで見ていなければならなく、手間のかかる作業だったそうです。
いずれにしても印刷技術の進歩や多様化によって、こうした今手にとっても心が踊るような雑誌が生み出されたのですね。