Web展覧会 Jump into the futureVol.2
秋華洞では4月より新しい試みとしてオンライン上で作品画像を見ていただき、
販売もする「WEB展覧会」を開催しています。
現在開催中なのは、20代、30代の若手作家4人をご紹介する
Jump into the future の第二弾です。
それぞれの制作コンセプトをご紹介します。
まずは瓜生剛さんの制作コンセプト。
「侵蝕する光景・内在する景色」と題し、自分の訪れた場所・体験した事象を核に制作している。
時を経るごとに、曖昧で不鮮明になっていく記憶を、色彩で補いながら、透層/積層/増殖させ、蓄積/侵蝕するかのように画面を埋めていく。
自分自身の記憶の位置軸がどこにあるのか、絵画の中で見つめていく。
日々の生活に潜む、言い知れない不安を拭い切れないでいる。
奥深い底知れぬ場所[深淵]で、微かに差し込む光、奥に見える明かりを頼りに進んでいく。
ひとり不安を拭う為に、究極の光景[極光]を求めて流離う。
瓜生剛「緑の家_鮮紅」
サンゴ礁とそこに棲んでいる生き物たちの絵を描いている上滝(じょうたき) 玲子 さん。
【制作コンセプト】
サンゴ礁は、海洋の中でも群を抜いて多様性に満ちた環境です。
密集する生き物たちは、まるで一つの大きな生物のように見えることもあれば、 賑やかな都市を思わせることもあります。
また、サンゴやイソギンチャクの色彩と形態は、内臓を連想させる独特の存在感があります。
彼らは動き回ることはしませんが、確かに生きて育っている。
私たちが普段、自分の内臓の存在を意識しないのと同じように、静かですが確かな力を感じてなりません。
海の底で動物たちの創り出す風景の、 美しさと刹那の恐ろしさを描けたらと思います。
上滝令子「群生 No.2」
春田 紗良さん。大学で油彩を学んでいますが、今回展示の作品は色鉛筆で表現しています。
【制作コンセプト】
共感覚者、特に書記素色覚者の立場から絵画制作および研究を続けています。
書記素色覚とは書記素、つまり文字をみたときに色やそれに付随するいくつかの諸要素を知覚する能力のことです。
制作の際、私はそれらの色や諸要素を画題の一部として、あるいは動機として用います。
脳神経間でほとんど無意識のうちに知覚される色や諸要素は、本来この世に存在しないものであり、
しばしば複数色の揺れとなって呼び起こされます。
私はこの特別な色(シキ)を表すために様々な画材を使用しますが、近年は色鉛筆の点描法に力を入れています。
春田紗良「花神」
東京藝術大学修了作品展で架空の雑誌「週刊 森の中」の表紙を並べた展示が話題になった長谷川雅子さん。
【制作コンセプト】
自らに降り掛かった不幸や憤りなどを発想源に、ユーモアとアイロニーを込めた作品を目指し制作しています。
「笑い」や「共感」には不幸を乗り越える癒しの力があると考え、それを絵画によって表現できないか研究しています。
長谷川雅子「サッカーフィールド」
展覧会サイトでは作品に、本人による解説もついていますので、
テーマ選びから、それに込められた思いなど、ぜひ味わいながら見てください。