北斎の忠臣蔵
12月に入って早6日、師走は日が過ぎるのが早いです・・・。
さて、12月と言えば「忠臣蔵」、ちょうど北斎による忠臣蔵シリーズが入荷しましたのでご紹介します。
まず、可候(かこう)の号を用いた歌舞伎仮名手本忠臣蔵11段の揃物のうちから。
このシリーズは現存しているのものが少なく貴重と言われています。
北斎「新板浮絵忠臣蔵 第五段目」
お軽の父、与市兵衛が斧定九郎に殺され、金を奪われるシーン。
夜空に白抜きの雨、朱色のすやり霞は凄惨な場面をドラマチックに演出しています。
五段目と並んで人気が高い「七段目」。
北斎 「新板浮絵忠臣蔵 第七段目」
大星由良之助は敵の目を欺くため、放蕩三昧。
そうしたなか、奥方、顔世御前からの密書をお軽に見られてしまいます。
寺岡平右衛門(実はお軽の兄)は由良之助に代わりお軽を殺そうとしますが・・・。
由良之助の遊興の場となったのが「一力茶屋」。今も京都四条通花見小路にある「祇園一力亭」です。
ちなみにこの作品は北尾正美「浮絵 仮名手本忠臣蔵 九段目」の構図の影響があるとの説が。
歌舞伎でも特に人気の高い七段目 祇園一力茶屋の場。
今月も京都南座の吉例顔見世興行で片岡仁左衛門さんらが親子孫三代で演じ、
話題を呼んでいます。
さて、同じ場面を違うシリーズで見てみると・・・。
北斎「仮名手本忠臣蔵 七段目」
お軽に、由良之助の真意を探るために床下に忍び込んでいた斧九太夫(斧定九郎の父)を
夫・勘平の代りに討たせたところです。
北斎の「忠臣蔵」シリーズは浮絵シリーズ、上記の横大判、鶴屋金助版の他、
伊勢屋利兵衛版の中版、横小版が知られています。
北斎に限らず、多くの絵師が「忠臣蔵」を手掛けています。
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それぞれ個性がありますので、見比べてみると楽しいと思います。