秋華洞スタッフブログ

日本の古美術・近代絵画を軸に、浮世絵、古典籍、その他書画骨董。茶道具、西洋美術品も扱います。

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助六

   

歌舞伎座の「芸術祭十月大歌舞伎」では

人気演目の一つ、歌舞伎十八番の「助六」が上演されています。

ところで、この演目、助六を演ずる役者によって本外題が違うのです。

今月は片岡仁左衛門丈(松島屋)が助六を演じるので、

助六曲輪初花桜(すけろくくるわのはつざくら)。

尾上菊五郎家ならば、助六曲輪菊(すけろくくるわのももよぐさ)

そして、助六を歌舞伎十八番に制定した市川團十郎家の場合は、

助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)となります。

ちなみに助六が花道から出る時(出端)の伴奏音楽も違います。

團十郎家は河東節、菊五郎家は清元、松島屋の場合は長唄など・・。

浮世絵でもこの人気演目はたくさん描かれています。

国貞Ⅱ「助六所縁江戸桜」

小国政「助六由縁江戸桜」

こちらは本外題が同じく「助六由縁江戸桜」。

どちらも市川團十郎によるもの、それぞれ8代目と9代目です。

さてこちらは、助六と恋人の揚巻が描かれています。

豊国Ⅲ (国貞)「見立三十六句撰 揚巻 助六」

助六というと助六寿司を思い出すかもしれません。
助六の恋人、吉原の花魁「揚巻(あげまき)」のいなりずし(揚)と巻き寿司(巻)
という説、また、巻き寿司のほうは助六の紫の鉢巻をなぞらえたとも言われています。

いずれにしても、浮世絵からもわかる助六のいい男ぶり。

江戸の人々をさぞかし熱狂させたことでしょう。

 

 

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