悪女の浮世絵
原宿の太田記念美術館では「悪」をテーマにした展覧会、
「江戸の悪Ⅱ」を開催しています。
http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/special/2018/edonoaku/
先日、わたしも訪れましたが、かなりたくさんのお客さんで賑わっていました。
みなさん、やっぱり「悪」に興味があるんですね。
さて、その展覧会でも展示がありましたが、「悪女」にしぼって今日はご紹介しようと思います。
浅茅が原に住んでいた老婆は、石の枕で寝ている旅人の寝床に向かって、石を落として殺害し、金品を得ていた。
あるとき、稚児が宿にやってくる。老婆はいつものように石で殺すのだが、その稚児は、老婆の娘が変装していたものだった。
悲嘆に暮れた老婆は、池に身を投げたという。
国芳の作品はまずは老婆と娘に目が奪われますが、縁の下に転がる髑髏など怖さがじわじわ伝わってきます。
同じテーマのものは芳年も描いていますが、縦2枚の構図でずいぶん雰囲気が違います。
芳年「奥州安達がはらひとつ家の図」
歌舞伎では石川五右衛門や児雷也を並んで三大盗賊をして描かれる、鬼神のお松。
芳年はこの於松をドラマチックに描いています。
芳年「鬼神於松四郎三朗を害す図」
世界を股にかけたワールドワイド?な悪女も。
国芳「三国妖狐図会 華陽夫人采姫が眼を射て斑足王をなぐさむ」
九尾の狐が絶世の美女に化け、世界を魔界に陥れるという物語。
華陽夫人はインドを舞台にした話。
中国では妲己という美女に、日本では玉藻前に化け、鳥羽上皇の寵愛を受けるのです。
最後は安倍晴明の招待を見破られ、九尾の狐の姿を表すと那須で討ち取られてしまいます。
この場面もよく浮世絵に描かれています。
もちろん、展覧会では悪女だけでなく、石川五右衛門や鼠小僧などの盗賊や江戸の任侠、
歌舞伎上での敵役など数多くの悪いやつを描いた作品が。
今月29日までですので、興味有る方はお早めに。