「浮世絵モダーン」
町田市立国際版画美術館で開かれている「浮世絵モダーン」に行ってきました。
チラシにもなっている伊東深水の「対鏡」の巨大ポスターの前には
なにやら2つの物体が。
なんとこれ、起き上がり小法師なのです。
新版画の傑作で今回の展示作品の
山村耕花「梨園の華 十三世守田勘彌のジャン・バルジャン」と
小早川清「近代時世粧ノ内 六 口紅」です。
今回の展覧会は会館30年を記念して
大正初期に登場した新版画を中心に
創作性の高い伝統木版を「浮世絵モダーン」とネーミングして紹介するものです。
会場では一部、作品を写真に収めることができます。
橋口五葉「浴場の女」
記念すべき新版画の第一作。
背景は渡邊版の特徴であるざら摺り(わざとバレンのあとを残す)が施されています。
試作として100部摺り、版元の渡邊氏と五葉は50部ずつわけたものの、
五葉は出来上がりに満足しなかったのかほど焼却してしまったそうです。
橋口五葉「化粧の女」
おなじく五葉の作品。なめらかな肌の質感、繊細な毛割の表現は
ぜひ近くでご覧頂きたいです。
小早川清「近代時世粧ノ内 六 口紅」
こちらは6枚シリーズの私家版で各図限定100部で制作されました。
かなりエキゾチックな美人です。
自身は「織物屋であったせいでせいか。小さいときから、
色彩に関する感性は強かつた」と述べているように
着物だけでなく小物まで意識が行き届いた作品。
ちなみにこの写真ではわかりにくいですが、半襟はパイナップル柄です。
この他にも戸張孤雁、川瀬巴水、吉田博、山村耕花、橘小夢、小村雪岱などの作品が並び、
大正から昭和初期までの芸術思潮や流行の文化、世相が伺える展示になっています。
時代を代表する作品でしかも状態の良いものがこれだけのボリュームで展示される機会は
なかなかないと思います。
6月17日までですが、是非機会が有りましたら足をお運びください。
http://hanga-museum.jp/exhibition/index/2018-380