水野年方~「美人画の系譜」展より
5/25から開催されている「美人画の系譜」展。
歌麿から始まり現代作家まで続く「美人画」の潮流を展示していますが、
その中で水野年方の作品を2点展示しています。
水野年方については2年前に生誕150年記念の展覧会が大田記念美術館で開かれましたが、
その時が浮世絵師としての年方の全貌を探る、はじめての展覧会となったくらい、あまり注目を浴びてこなかった作家なのです。
月岡芳年の門人となり、美人画や歴史画、戦争画の浮世絵を残したほか、
渡辺省亭の画風も学び、日本画も多く残しています。
また、年方は口絵の世界でも活躍しました。
水野年方「恋慕ながし」
口絵は小説の主人公の説明として入れられ、彩色され、だいたいA4版の大きさで本や雑誌の最初につけられるものです。
口絵雑誌のブームは明治中期から大正初期。
雑誌の売れ行きも左右していたようで、「口絵の付かない雑誌は売れない」とも言われていたそうです。
三井呉服店の配りものとして出版されたと言われる「三井好 都のにしき」も展示しています。
水野年方「三井好 都のにしき」
当時の風俗や流行が伺えます。丁度西洋のものが入り込んできた時代、和装と洋装のかたも入り混じっています。
今回は巻物に仕立てた揃いの作品を展示しています。
数え43歳で亡くなった年方ですが、鏑木清方の師としてその気品ある美人画の流れは清方に受け継がれました。
展覧会は6/4まで。入場無料ですので、お気軽にお立ち寄りください。
「美人画の系譜」
展示作家:歌麿、国貞、宮川長春、伊東深水、竹久夢二、小村雪
甲斐庄楠音、伊藤小坡、池永康晟、岡本東子、中原亜梨沙ほか
https://syukado.jp/feature/2018/05/bijin.html