白浪五人男
歌舞伎座では「弁天娘女男白浪」(白浪五人男)を上演中です。
主演の弁天小僧は七代目尾上菊五郎さん。
この役を22歳で初演、当たり役にされています。
16,17歳の役ですから、ふさわしく見えるよう、
5キロほどダイエットしたそうです。
白浪五人男は見どころが多いお芝居、
三代豊国「白浪五人男」
芳幾「白浪五人男」
煙管の使い方、
ゆすりがばれて、男の本性を現す所、
南郷力丸役の左團次さんとの絶妙な掛け合い、
屋根の上での立ち回りなど
何度見ても面白いです。
さて、その「白浪五人男」の初演、文久2年3月(1862年)の配役です。
当時、弁天小僧を演じた十三代市村羽左衛門(後の五代目尾上菊五郎)(左)は19歳。
これが出世作になりました。
国明「白浪五人男」
でも、この浮世絵ではいわゆるセンターは
南郷力丸役の四代目中村芝翫ですが・・・。
その四代目中村芝翫は大詰、滑川土橋の場で
「青砥左衛門藤綱」という役でもう一度出てきます。
弁天小僧は自害し、他の手下たちも捕まり、
日本駄右衛門も捕られられるかというところ、
両者睨み合いのうちに幕となります。
なんとも唐突な青砥左衛門藤綱という人物の登場ですが、
その当時、四代目中村芝翫が人気絶頂で、
そのために南郷力丸の他に最後の重要な役をふったという話があるようです。