長崎絵
今月26日まで板橋区立美術館で開催の「長崎版画と異国の面影」に行ってきました。
長崎版画とは江戸時代の長崎で主に土産用として作られたオランダや中国などの風俗や人物をテーマにした木版画です。
こうした地方のお土産用の美術品は他に「大津絵」や富山の売薬版画などがあります。
中国から伝わった蘇州版画の影響を受けています。
異国船は長崎版画でよく描かれた題材です。
「長崎出島之図」
出島を描いたもの、右手の船がオランダ船、左側が唐船です。
下方中央が出島、その左手に突き出ているのが唐船の貨物を収納するために作られた新地の蔵、
左手には唐人屋敷が描かれています。
なお、この作品には署名や版元名がありませんが、そうしたことは長崎絵ではよくあるようです。
ところで、チラシに使われている版画はかなり江戸の浮世絵に近いものです。
大和屋版「阿蘭陀船入津之図」
大和屋に婿入した磯野文斎は渓斎英泉の弟子で、
江戸の浮世絵の技術を長崎に伝えたのです。プルシアンブルーのぼかしが美しい作品です。
大和屋と並んで有名な版元が「文錦堂」です。
図録の表紙は文錦堂による「阿蘭陀人」
異国趣味にあふれていますね。女性が描かれていますが、
実際には長崎では女性や子供は暮らせなかったので
ヨーロッパ絵画の写しと考えられています。
この展覧会は今月26日まで。長崎絵をまとめてみる貴重な機会です。