二人の桃太郎
先月の歌舞伎座は三代目中村勘太郎さん、二代目中村長三郎さんの初舞台で湧く猿若祭二月大歌舞伎でした。
その「猿若」ですが、
中村勘三郎家はもともと座元で猿若勘三郎(初代中村勘三郎)が今の京橋の辺りに小屋を作ったのが江戸歌舞伎の始まり。
その後天保の改革により江戸三座が浅草に移転、
町名は初代勘三郎に因んで猿若町と命名されました。
こちらはその移転後の猿若町の様子です。
広重「江戸名所 猿若町繁昌の図」
歌舞伎界注目の2人のプリンスの初舞台とあって、歌舞伎座は大賑わい。
二人の父親の中村勘九郎さんと叔父、七之助さんも、昭和62(1987)年1月歌舞伎座で、
同じく5歳と3歳で初舞台を踏んでいます。親子二代で同じ年齢での初舞台。
演目は『門出二人桃太郎(かどんでふたりももたろう)』、ロビーにパネルも飾ってありました。
祝幕はデザイナーのひびのこづえさん作。
ふたつの桃が川から流れてきて、中央には定紋の角切銀杏(すみきりいちょう)が。
こちらも箱がロビーに飾られていました。
桃から二人の桃太郎が飛び出すと会場は割れんばかりの拍手。劇中には口上もあり、大いに盛り上がりました。
短めの演目ではありますが、幼いお子さんが25日間舞台を勤め上げるということは大変なこと。
休憩時間にイヤホンガイドで中村勘九郎さん、中村七之助さん、そして今回初舞台を勤めた中村勘太郎さん、中村長三郎さんによる
特別トークが流れていましたが、
父である勘九郎さんは、「勘太郎さん」、「長三郎さん」と二人に話しかけ、
幼くても初舞台を踏んだ以上、歌舞伎の役者、プロとしてとして接しているのだなと思いました。
二人のこれからの活躍が楽しみです。