秋華洞スタッフブログ

日本の古美術・近代絵画を軸に、浮世絵、古典籍、その他書画骨董。茶道具、西洋美術品も扱います。

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「こうがい」と読みます。

   

秋華洞で開催中の展覧会「キモノ美人」。

同じ銀座にある和装小物の「銀座かなめ屋」さん、呉服店の「銀座いせよし」さんに解説、展示でご協力いただいたコラボ企画。

簪などの和装小物や反物も展示してありますから、浮世絵に描かれた小物を見比べてみてくださいね。

さて、江戸時代の女性が唯一楽しめたアクセサリーといえば、「髪飾り」。

こちらの女性も髪のおしゃれを楽しんでいます。

いろいろな髪飾りがありますが、かなめ屋さんに解説をお願いしましたので、御覧ください。

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英泉「当世会席尽 深川土橋平清」

▼着用かんざし
・白べっ甲前小僧(まえこぞう)
・べっ甲櫛
・べっ甲花飾りかんざし(恐らく飾りは着脱可能)
・べっ甲笄(こうがい)
・銀蜻蛉飾りかんざし

べっ甲の櫛は透かし彫りのように見えるかもしれませんが、これは彫りではなく、べっ甲の天然の模様「布(ふ)」が黒っぽく入っているものです。

天然の模様のため、淡い茶褐色をしたものから黒色のものまで様々です。

べっ甲の中では、透き通った白色(黄色味からオレンジがかったものまで様々)の白べっ甲が一番希少性も高く高価で贅沢な部位になります。

しかし昔のかんざしの中には、敢えて、白べっ甲に部分的に色のついた「布」を取り入れる(張り合わせる)ものも多く見かけます。

笄(こうがい)の中央三分の一付近にも似たような「布」が入っているのが見えます。

これはあくまで私の考えですが、贅沢な白べっ甲に、敢えて模様「布」を入れ、粋に見せ、またファッションを楽しんだのではないでしょうか。

笄(こうがい)とは、この見慣れない(読めない)文字からしても、平打ちかんざし以上に一般的には馴染みの少ない種類のかんざしではないでしょうか。
この笄も通常、日本髪を結った時に、櫛と一緒に後ろに束ねた髪に通して挿します。

実はこの笄、江戸時代には、髪を結う時に使用する髪結いの“道具”の一つだったのですが、

その為一般的なかんざし(髪飾り)とは少し変わった進化を遂げ今に至っています。
江戸時代、男性も女性も髪を纏(まと)めるために、この笄を使っていたと言われています。

髪結いの道具として使われていたころの笄は、一方が持ち手、そしてもう一方が細くなっていて、

これに髪を巻きつけて髷(まげ)を結っていました。

男性の場合には、日本刀の柄の部分にこの笄に似た、小さなナイフ状のものが仕込まれていました。
江戸時代も中期~後期ごろになるにつれ、次第に当時の髪型も多様化(お洒落)していく過程で、

笄も髪結いの道具から、かんざし、髪飾りへと進化していったと言われています。
目出度く、ひとつの道具から髪飾りとして出世(進化)した笄は、この浮世絵に描かれているように左右対象の形状になりました。

また髪飾りとして笄を挿す時に、折角きれいに整えた髪型を壊さぬよう、

中央のところで印籠継ぎで左右二つに分かれ、挿す時に髷(まげ)の両側から差し込み、中で合わせる笄(中差しともいう)も生まれました。
さらにこの「中差し」と言う技法が加わったことにより、笄の両端への装飾も次第に豪華さを増し、笄の両端に蒔絵や螺鈿、

芝山などの凝った装飾を施した笄が広く世に広まったとも言われています。
その極みのひとつが花嫁の髪飾り一式に見られます。

神前式の結婚式で、花嫁がお挿しになる笄には、その先に着脱式の大きく大変華やかな花飾りの装飾が付きます。(銀座かなめ屋)

開場にはこうした簪や笄も展示しています。

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展覧会は27日(金)までです。是非お越し下さい。

 - 展覧会, 浮世絵