カサットと浮世絵
先日、横浜美術館で開催されている「メアリー・カサット展」に行ってきました。
メアリー・カサットは印象派を代表する女性画家です。
アメリカ生まれのカサットは画家を志し21歳のときにパリに渡ります。
そこでエドガー・ドガと運命的な出会いをとげ、印象派展に出品するようになります。
カサットというと母子像と並んで代表作なのがチラシにも使われているこちら。
メアリー・カサット「桟敷席にて」(部分)
19世紀の後半、パリの劇場は社交の場で、ドガやルノアールも絵の題材にしていました。
お芝居やオペラを楽しむと同時に男性は桟敷席にお目当ての女性を見つけることを楽しみにしていたそうです。
この絵にも女性がオペラグラスで舞台を見つめる女性の向かいに、
「女性」を見ている男性の姿が・・・。
男性の眼を気にすることなく、凛とした姿で鑑賞する女性は新しい時代を感じさせます。
さて、カサットといえば軽やかな明るいタッチで母子像を描き続けましたが、
日本の浮世絵に影響を受けていました。
ゴッホ、モネ、ルノアール、ドガなど多くの印象派の画家たちが浮世絵の影響を受けていますが、
カサットも例外ではなく、1890年に開かれた浮世絵展で歌麿や清長の作品に感動し、
その後多色摺りの版画を制作しています。
当時、歌麿の浮世絵に見られるような親密な母子像は西洋にはなく、大いに影響を受けたようです。
※こちらの浮世絵は展示作品ではありません。
会場には浮世絵の他、カサットがかつて所蔵していた屏風も展示しています。
横浜美術館での展覧会は9月11日まで。
ぜひ、足をはこんでみてください。