歌舞伎と衣装
先日、日本画家の岡本東子さん、弊社社長と私の三人で歌舞伎を観に行きました。
毎日暑い中、今年11月に予定している個展の準備でいそがしい岡本さん。
新しくなった歌舞伎座の前でパチリ。
やっぱりこの荘厳な建物の前に立つと気分が上がります。
(岡本東子展は11月1日〜11月11日まで。詳細が決まりましたら、順次お知らせいたします。)
さて、本日の演目は「新版歌祭文 野崎村」と「春興鏡獅子」
野崎村は「お光」が主人公です。
お光の許婚、久松は奉公先の油屋で金を紛失した罪を着せられ、親代わりである野崎村の百姓久作の家へと戻ります。
久作は娘のお光と久松を結婚させることにしますが、その祝言の当日、久松と恋仲である油屋の娘、お染が訪ねてきます。
お光はお染に嫉妬しますが、2人が心中する覚悟だと知ると自ら尼になって身を引きます。
岡本さんは着物姿の女性をよく描いていることもあって、
役者の着物が気になったそうです。
歌舞伎では役柄によって着物や身ににつけるものが決まっています。
お光といえば、秋華洞のカタログの表紙にもなった木谷千種の作品。
木谷千種 「お光」(売約済み)
緑色の着物、そして髪にさしている「すすきの簪」(秋に穂を出すススキではなく、菊やタンポポのような形)は田舎娘をあらわしています。
急に決まった祝言を前に鏡の前で眉毛をかくしてみたり(当時、女性は結婚すると眉を剃った)芝居では浮き立つ気分が抑えられない場面なのですが、どことなくさびしげに描かれたこの作品はお光の行く末を暗示しているようです。