歌舞伎を支える人々
昨日、「ル テアトル銀座」で上演中の三月花形歌舞伎を観てきました。
実は市川團十郎さん、海老蔵さん親子の共演で「オセロー」を上演する予定だったものがが、團十郎さん、体調不良のため、歌舞伎に差し替えとなったものです。
上演演目は昨年亡くなった第十八代中村勘三郎さん追悼として、
勘三郎さんの当たり役、「夏祭浪花鑑」が選ばれました。
この役を海老蔵さんは以前アリゾナに滞在中の勘三郎さんに習ったそうです。
テアトルは花道がないため、代わりに通路を使っており、
役者さんたちを身近に感じました。
その夏祭浪花鑑、人気演目とあって、浮世絵によく描かれています。
こちらは、パンフレットにも掲載されていた作品。
「夏祭意気地ノ江戸ッ子」 三代豊国 (4月2日からの「役者絵」展に出品予定です。)
大詰めの田島町捕物の場を描いたものです。
町の屋根の上で義父殺しで追われる身となった団七の立ち回りが
見せ場なのですが、もちろん切られ役もいます。
そういった場合、切られるほうはトンボをきって(宙返り)倒れるのが
歌舞伎では一般的なのですが、これを傾斜のある屋根の上でやるのです。
見ていてドキドキ、ハラハラ。
でも、皆さん鮮やかに決めてくれます。
もちろん、相当の稽古を積んでいるわけですが。
実は歌舞伎座の楽屋裏に助走のスペースとトンボを切る砂場のようなものでつくられた
「とんぼ道場」というのがあって、そこで練習するそうです。
毎年1月にとんぼ道場開きがあり、一年の安全を祈願するそう。
主役を引き立てる、こうした大勢の役者さんたちがいればこそ、
すばらしい舞台が出来上がるわけですね。