横浜絵
浮世絵に「横浜絵」というジャンルがあります。
1859年に開港した横浜を舞台に外国人の風俗を描いたものです。
開港後の外国人居留地の様子や横浜の開化風俗のほか、
異国の風景や見世物の動物まで描かれた題材は多岐に渡り、
それを通して人々は開化の様子や外国文化を知っていったのです。
今日はその横浜絵をご紹介。
女性の衣装はイギリス風のスタイル。子供は蟹を手にしています。
特に男性の顔の彫りの深さの表現に苦心した様子が窺えます。
「外国人子供寵愛之図」 芳員
横浜絵は「西洋人の生活を知りたい!」という庶民の欲求に答えたものでもありました。
外国人の日常生活や子育ての様子を描いた浮世絵は数多くのこされています。
浮世絵師が実際にこうした屋敷に入ることはむずかしかったため、
外国の新聞や洋書の挿絵を情報源にしたようです。
ちなみに1853年、ペリーが浦賀沖に停泊した際、
最初に「黒船」に向かった小船に画家の一群が乗っており、
そのときの様子をスケッチしたそうです。
一方、黒船にも記録係の画家と写真家が乗り込んでいたとか。
記録性と一般大衆の好奇心を満たすツールとして「絵」が大きな役割を
担っていたことを裏付けるエピソードです。