役者絵3点
昨日はインドの女性のお客様が2人ご来店。
1時間半ほどじっくり吟味され、浮世絵をお買い上げいただき、
最後に
「車を待たせているから。」
と、美しいサリーをヒラヒラさせてお帰りになりました。
時間にも心にも余裕があると身のこなしも優雅です。
歌舞伎が見たかったそうですが、歌舞伎座は立て替え中。残念そうでした。
本日は国周の役者絵3点ご紹介します。
「魁見立十翫」「十かんの内 辛」「俊寛嶋物語 中村芝翫」
中村芝翫が様々な役に扮する姿を描いた「魁見立十翫」シリーズのうちのひとつ。「俊寛嶋物語」を演じる様子です。
大柄の身体をはっきりした柄の衣装に包み、顔の前に拳を突き出し見得を決める姿は迫力満点。顔や手といった肌を表す繊細な線で表しているのに対し、分厚い衣装には勢いのある線を用いているところに作者の意匠が感じられます。
『仮名手本忠臣蔵』は元禄赤穂事件を題材とした人形浄瑠璃および歌舞伎の代表的な演目です。人形浄瑠璃、歌舞伎では赤穂浪士事件を直接描けず、舞台を室町時代
に変えてこの事件を描いていますが、塩冶判官は浅野長矩をモデルとしています。見得を決める役者の鋭い視線と作品を縁取る濃紺の帯で画面が引き締まります。
「梅幸百種之内」明石の島蔵
「梅幸百種(ばいこうひゃくしゅ)」とは、梅幸という歌舞伎役者が扮した100種の役を版画であらわしたもの。幕末から明治にかけて活躍した浮世絵絵師・
豊原国周の作です。本シリーズで描かれるのは五代目尾上菊五郎で、九代目市川團十郎、初代市川左團次とともに、いわゆる「團菊左時代」の黄金時代を築いた人物です。本作では、五代目菊五郎の当たり役であった『島鵆月白浪』の明石の島蔵に扮する姿が描かれています。
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