横山大観の箱書について
箱書は、横山大観作品を高く評価する上で最も重要な要素
箱書は、横山大観作品を高く評価する上で最も重要な要素です。
・共箱(ともばこ)とは、掛軸の箱に作品名と、裏面に作家自身が署名し、押印されたものを言います。
・共シール(ともシール)とは、主に額装の作品に多く、作家の署名、押印と作品名が記されたラベルシールが、額の後ろに貼られています。
いずれも作家自身がその作品の制作を認めた証として、真贋を見極める際に大変重要になります。
この箱書や共シールがないと評価も下がってしまいます。
本人が記したものを『共(とも)』と呼んで、共箱や共シールという言い方をしますが、他にも、大観の奥様が記した美代子箱や甥が鑑定したものを大玄箱、その子孫の横山隆さんの鑑定登録など、大観の死後に親族が行った箱書やシールもあります。
横山大玄・横山美代子について
大玄は、大観の妻・静子の弟で、子供のいなかった大観と養子遠祖を結んだ人物です。
大観が昭和33年に亡くなった際は、大玄とその妻美代子の二人が相続人となりました。
大観の鑑定は、昭和51年まで大玄が行い、「大玄箱」と呼ばれています。
大玄の死後(昭和51年以降)は妻の美代子が引き継ぎました。(「美代子箱」と呼んでいます)
大玄が単独で鑑定を行っていたのに対して、妻の美代子は昭和51年に大観の居宅をそのまま記念館として
財団法人「横山大観記念館」を設立し、大観記念館とともに鑑定業務を行いました。
こうしたことから、わずかですが美代子鑑定の方が評価が高くなっています。
余談ですが、横山大観に「東京美術倶楽部」の鑑定書が付くことは現在のところございません。もしそのような鑑定書が付いている作品があれば、それはニセモノということになりますのでご注意を!