片岡球子の額といえば「岡村多聞堂」です!
通常、額そのものは査定評価額の対象にはなりません。ただし、額の裏に作家のサインと作品名が書かれ、印が押された「共シール」が貼ってあれば、片岡球子先生の作品を高く評価する上で大変重要な要素です。額の裏にこの「共シール」が貼られていましたら、査定の際にこちらの写真も忘れずにお送りください。
片岡球子先生の作品の多くは、東京赤坂にある「岡村多聞堂」の額縁が使われています。
鈍い金色の縁でマットの部分に更紗裂を貼った多聞堂さん独自の落ち着いたデザインで、力強いタッチの球子作品とよく合っています。真贋を見分ける確証にはなりませんが、片岡球子先生の作品(特に晩年にえがかれたもの)でこの多聞堂さんの額に入っていない作品は、どことなく違和感があったりします。
岡村多聞堂の額は金色の縁と更紗裂の落ち着いた素敵なデザインです。
額の裏側には岡村多聞堂のシールが貼られています。
日本画の世界では、作家にお出入りする表具屋さんや額屋さんが決まっている場合が多く、文化勲章を受章した日本画作家さんは、この多聞堂さんの額がよく使われてきました。
他にも、画材(絵絹や雲肌麻紙)、天然の膠や顔料、シールに使われた紙、落款の墨の色、朱肉の赤など当時から一流の作家たちが使っていたものは、やはり一流のもので、墨の照り具合も一般的な墨と比べると風合いが異なります。
私どもは普段から本物の作品を見ることで目を養い、細かな部分もよく見ることで真贋の判断に役立てたりしています。