どんな作品が高く売れるのか
絵画などの美術品・骨董品を売るとき、どんな作品が高く売れるのか、少しお話したいと思います。
時代で価値が変わります
高く売れるのかどうかは、いちばん大事な要素は「時代」といえるかもしれません。ある時代に流行っても、次の時代には価値がなくなる、そういうことをこの数十年でも、私ども美術商は多く見てきました。
よく、「今はウリドキなの?」と聞かれます。おそらく、株式などと同じ感覚で聞かれているのだと思います。「時代」で価値が変わる、という意味で仰っているのだと思いますが、この質問は実はあまり意味がありません。
長期保有が美術品を持つ正しい態度だと思いますが、長く持っていたからより高くなる、と考えるのはあまり意味がありません。
たしかに、白髪一雄や草間彌生のように、30年で値段が数百倍にあがってしまった作家はいますが、では美術が必ずあがるのか、といえばそうとはいえません。
いつ売るのが適切なのか、と言われれば大事なのは「得するかどうか」ではなくて「自分にとって必要であるかどうか」ということになります。
作家の値段
これは作家の名前の要素がもっとも強い要素です。ある種の古い仏画や古筆など、作者を云々するのが意味がない場合もありますが、総じて作者の偉大さによって基本の価格は決まってきます。
では、作家の値段はどう決まるのか。それはその作家が時代を変える大きな仕事をしたかどうか、に左右されます。そして、それが現在どう捉えられているか、という要素です。
作品のモチーフ
その次に作品のモチーフです。作家ごとに人気のモチーフがあり、代表的なモチーフが高く評価される傾向があります。
この影響で、同じ画家が同じ図柄ばかり描く傾向がありますが、これもやりすぎると評価が低くなるケースもあり厄介です。
「売る」と決めたら、何が高いか、考えても仕方ありませんが、保存したり、引き継いだりすることを考えると、引き継ぎ時にどう評価されるのか、ということを考えて、状態を整えたり、つぎの時代の人に引き渡す必要があります。そうした視点でいえば、もっとも高く評価される作品を買い、状態を正しく保つ、ということが「高く売れる」ものを所有しておくコツともいえるでしょう。
こうした知識は、作品を手放すときに、知っておくと「納得」して美術品を売る助けになるかと思います。