ファン・ピン・トン(黃品彤)の魅力@Imaginary Green
今回、Imaginary Green 開催にあたって、みなさんに是非とも紹介したいのがこの ファン・ピン・トン(黃品彤)なのです。
彼女の作品の魅力は木彫での繊細な造形の技術がそのひとつであることは勿論のことなのですが、何よりも、彼女が人生や生命というものに向き合う姿勢がきちんとした哲学を伴って、優しく、やわらかに表現されていることです。
彼女の最近の作品は「生命の樹」シリーズと名付けられているらしいのです。この名称は旧約聖書にも登場する言葉で、カバラ数学を使ったエヴァンゲリオンに出てくる図像を想起させますが、ああしたちょっとオドロオドロシイ世界とは一線を画しており、むしろ人の人生を一本の木に託したような表現になっています。
芽を出した植物の姿がそのまま歩みを始めた赤ん坊のメタファーで表されており、とても微笑ましいものです。
彼女の過去作を紐解くと、人が生まれてから大人になって成長する間の葛藤や喜びが一作品ごとに表現されており、その素直な感性に私は魅了されました。いささか権威主義に傾きがちな男性の作品に比べて、なんてのびやかで美しいことでしょう。この台湾の若い知性と感性は世界にひとしく感動を与える力を持つと確信しました。
ぜひ、今回の展示にいらして、彼女の世界を堪能していただきたいと思います。
展覧会情報
展覧会 Imaginary Green
会期 2024年4月18日(木)〜27日(土)
会場 ぎゃらりい秋華洞
時間 10:00〜18:00
備考 会期中無休 入場無料
https://www.syukado.jp/exhibition/imaginary-green/
銀座ぎゃらりい秋華洞では、春の展覧会として植物をテーマとしたグループ展を開催します。
中華圏と日本出身の6名の作家で構成された本展覧会では、異なる文化背景を持つ作家が植物という共通のテーマで作品を制作いたしました。植物という我々の身近にある存在が、作家それぞれの目線を通して展開されます。
展覧会のタイトル”Imaginary Green”とは日本語で想像上の緑、架空の緑という意味が込められています。
既視感を感じられる植物でありながら、存在しないものでもあり、不思議と愛着が湧くような絵画・立体作品を展示いたします。ぜひお楽しみ下さい。
〈出展作家〉
ファン・ピン・トン(黃品彤)、リン・イーロン(林義隆)、ディー・チン(狄青)、
チン・ペイイ(陳 珮怡)、沖綾乃(オキ アヤノ)、岡本東子(オカモト トウコ)
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