臨時偽作版画調査委員会発足について
2021/02/15
2月8日、読売新聞の報道で、東山魁夷、平山郁夫、片岡球子の版画について、市場に偽作が出回っている旨が明らかになりました。
上記が、今回明らかになった版画作品10点です。この作品はいずれも本来、正式に画家本人、ないし著作権者に許可をとって、多くの場合は画家自身の監修のもと制作された作品です。
ところが、心無い大阪の版画を主として扱う美術商が、ある版画工房と組んで贋作を作っていたものです。
版画は一般的に50点から200点ほど作られるもので、版画作品の左下余白部分に、たとえば125エディションのものの6番目のスリでしたら、6/125などと表示され、その数字自体も画家が書く場合が多いです。
ところが、その一部のエディションのようにみせかけて今回の贋作は作られたもので、例えば100-120についてその悪徳美術商が自らサインを111/125のようにサインして発行し、市場に出回らせたものです。今回「発覚」したのは、本来二次流通で出てくるものはほんの少しずつでてくるものであるところ、不自然に連番で出回ったものを、一部の業者さんが気がついて調査を進めたところ、この悪徳美術商が浮かび、警察の捜査にまで及んだということです。
この件は、美術流通の信頼を大きく傷つけるものとして、看過できることではありません。そこで、美術マーケットを開く10団体あまりが立ち上がり、今回の「臨時偽作版画調査委員会」を立ち上げたものです。私もその一画に参加させていただきました。委員長は日本版画商組合の青木さん(南天子画廊)が就任いたしました。今後の偽作版画の鑑定ほか、さまざまな相談事、事実関係の確認などを主体的に行っていくことになります。
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