河鍋暁斎の世界
11月8日、つまり明後日から、”WE LOVE 暁斎展”がはじまります。
次のような入り口のセリフを作りました。
とにかくうまい。なんでも描ける。仕事が早い。
それが明治の華、河鍋暁斎。
若い、才能のある作家と話していると、ときおり聞くのが「実は暁斎が大好きなんです」というセリフです。画家が惚れる画家。私達の実感です。
明治という変革期は、画家が食べていくのが厳しい時代でした。そのうえ暁斎は反骨的で、政府に投獄されてもなお、旺盛に仕事を続け、時代を生き抜きました。
現代も厳しい時代です。かつて価値観が否定され、新しい、本質的な美術が求められる中、若いアーティストたちは呻吟して時代の価値を更新しようとしています。
暁斎と現代のアーティストが時を越えて共感できる理由ともいえるでしょう。
暁斎を愛する若い美術家たちと暁斎の共演。是非、御覧ください。
この展覧会を行うに当たり、河鍋暁斎記念美術館にお邪魔しました。
曾孫に当たる河鍋楠美先生が作られた美術館なのですが、楠美先生が実際にあったのは、暁斎ではなく、暁斎の娘であり弟子である「暁翠」だったようです。美術館には、優しかった暁翠先生から受けた愛情を返そうとする一人の女性の愛情がいっぱいつまっている気がいたしました。
今回の企画は、私どもで所蔵する(というか商品)暁斎の肉筆作品や版画作品と、暁斎を愛する作家がオマージュを捧げる作品を同時展示するという企画です。
暁斎を今回もっとも心の芯から愛している参加作家は、なんといっても平良志季さんだと思います。ツイッターアカウントまで暁斎の絵にしているくらいの入れ込みようで、本当に暁斎の生まれ変わりかな、と思わせる絵の達者さです。彼女は何度も何度もこの記念館を訪ねていると聞いています。
暁斎に惚れ込んでいる画家は案外の数がいるような気がします。今回参加してもらう岡本東子、 森謙次、木原千春、江田朋も勿論ですが、もしかしたら参加してみたかった!と思う画家さん、美術家さんはもっといるかもしれません。
作品は全部はまだ出揃っていませんが、かなりの力作が集まっています。是非、お運びください。
https://www.syukado.jp/exhibition/we_love_kyosai/
幕末から明治にかけて活躍した河鍋暁斎。国芳に浮世絵を学んだ後、狩野派に入門し伝統的な官学派の絵画を学んだ暁斎は幅広いジャンルの無数の作品を残しました。
近年ますます注目が集まる河鍋暁斎、秋華洞所蔵の暁斎作品と、現代作家による暁斎へのオマージュ作品を通して、その魅力を広く伝えます。
展示作家:河鍋暁斎、岡本東子、平良志季、森謙次、木原千春、江田朋 展覧会情報 会期2019年11月8日(金)〜17日(日) 会場ぎゃらりい秋華洞時間10:00〜18:00 備考会期中無休 入場無料 展示作品紹介 河鍋暁斎
河鍋暁斎「狂斎百狂 どふけ百万編」 河鍋 暁斎(かわなべ きょうさい) 天保2(1831)下総~明治22(1889)東京 絵師、浮世絵師。歌川国芳に師事し、その後駿河台狩野家前村洞和及び狩野洞白に師事。狩野派としてのアイデンティティを誇りながらも狂画を描き、政治批判をしたとして投獄される。出獄後は暁斎と号した。反骨精神に溢れ、画域の広さと技量には定評がある。
平良志季
平良志季「We love 暁斎」
森謙次
森謙次「幇間」
木原千春
木原千春「線を捕まえる猫図」 ― 河鍋暁斎 蛙を捕まえる猫図より
江田朋
江田朋「烏鷺図布団釜」
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