ニューヨーク「Armory Show」「Volta」見てきました
ニューヨークに行ってきました。今回は主として ” The Armory Show” というアートイベントと、そのサテライトショウである”Volta”の見学が主目的。
”Armory” というのは「武器庫」の意味とのことで、旧兵器庫をアートイベントの会場として利用するイベントはおそらく何種類か開かれていたはずと思いますが、いずにしても、NYではメジャーなコンテンポラリーアートフェアと言えるでしょう。曰く因縁を知りたい方は下のURLをどうぞ。英語ですけど。
http://www.thearmoryshow.com/about/history.html
数年前まではアジアンアートアンドアンティークアーモリショウが開かれていたはずで、日本からもいくつか出展されていましたが、こちらは数年前に中止になった模様。どんどんアートシーンも変化があります。
ちなみに会期は3月2日から5日。マンハッタン島のミドルイースト、埠頭部分の「武器庫」を大々的に利用して、この「アーモリショウ」とサテライトの「Volta」が開かれていました。
さて、このアーモリショウは「近代」と「現代」に分かれており、「現代」が会場としても広く、規模にはさすがに圧倒されます。ただ、ガゴシアンなど、超大手のブースは数年前に撤退しており、ちょっと残念。ただし、「近代」のブースは、ミロ、ムンク、などおなじみの銘柄の他に近頃はやりの「具体」系の作品なども散見されてかなりの充実ぶり。そう安く買える作品が出ているはずもないが、見応えは十分。また、今年は「アフリカ」の現代アートに光を当てる、という趣旨の特集あり。このショウでは、毎年普段光の当たらない地域のアートを紹介しているらしく、意義はあるかと思う。アフリカにも画廊が有るんだなあ、としみじみ。
”Volta”は、アーモリショウと提携しているサテライトショウ。会場も隣。このショウの特徴(1)は、世界中の画廊を集める努力が感じられること。韓国、台湾、アフリカ、アジア各地、ヨーロッパ各地などバラエティに富む画廊群。それと(2),現代アート作家の「個展」を開くことを出店条件にしていること。参加する画廊側としては、手当たり次第に色々持って行って様子見、という訳にはいかず、アーティストひとりで勝負せねばならず、リスクが高い、ともいえそうですが、お客さんにとっては、ある意味わかりやすいフェアだともいえるでしょう。日本からはギャラリーKOGUREさんや、YODさんが出展。KOGUREさんは「デジタル」な陶器を作る増田敏也さんの個展、YODさんはアルフレッド・エスキロというフィリピンの非常に黙示録的示唆に富む作家の展示。両者ともとても素敵な展示でした。思わず少し買ってしまいました。
そのHPはこちら。カッコイイね。
その他、hpgrpさんがトライベッカでやっている ”NEW CITY ART FAIR” も拝見致しました。プレビューでは、なんと升酒が振る舞われる。いいですね、日本的で。ここの社長、イケメンなんですね。頭にくる。みんなで食事した時、「シュークリームを潰したような田中くん」とかわけのわからん紹介されて、それをケタケタと笑う彼に反論できない。おかしいなあ、ぼくのことをイケメン社長として売り出す、とウチの広報部長、山田が数年前から提唱しているんだけど、イケメンと思ってくれているのは希少人種のウチの社員だけかも。クヤシイ。
現地の新聞などで調べると、他にも沢山、サテライトはあるようですが、わずか2日の日程ではとても見きれず。多少チェルシーの大手のギャラリーも見てきました。PACEでは、杉本博司さんの「Sea of Buddha」という個展が開かれていましたね。このギャラリーは、ハーブアンドドロシーという素敵な映画にも出てきた有名画廊。さすがにかっこ良かったな。今回のニューヨークで、一番印象に残ったのは杉本さんだったりして。
杉本さんの作品もそうなのですが、私、思うのですけど、世界のアートシーンの中で、価格はともかくとしても、日本の美術、アートの精度、たたずまいは全然、世界で引けをとらないな、と感じさせていただきました。世界中、どこに行っても、草間さんの水玉模様、元永の楽しい抽象、奈良美智のファンタジックな明るさを見るわけですが、彼らを先遣隊として、まだまだ、日本は世界に出ていけると思いますね。そういえば、村上隆さんの肖像をモチーフにした作品も、VOLTAで見かけたな、ピカソの顔のモチーフと並んでいた。メジャーなんですよ、ニッポン。
大観やら玉堂(浦上とか川合)をイキナリこの地に持ってきても、理解はされにくいだろうけれども、日本美術のエキスを吸収した「何か」は具体やモノ派に限らず、必ず人に印象を残すと思う。フィリピンのエスキロさんなど、アジアのアーティストに議論を広げてもいいけど。ポロックとかポップアートとか、アメリカ独自の表現もいいのだけど、別段この20年でメチャクチャ進歩してるかというと、まあハッキリ言って、そうでもない。今は、群雄割拠の戦国時代、といえばいえる。ま、日本はあらゆる業界で、未だにある意味「真田丸」みたいなもんですが、夢を持って、頑張りましょう。
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