台北への道:あと残り一日。
アートタイペイは、残すところあと一日だ。会場が広く、天井高く、集客力もあり、スタッフも生き生きしており、勢いを感じさせるフェアではあると思う。
実のところ、事務局は女性中心で、若い。大きなオカネの動くアートフェア企画だが、若い感性で切り回しているところに、力が出ているのかもしれない。
今年の売上げは、例年に比べて、全体としてよくないという話をアチコチで聞いた。我々としては、最悪の年に来たのかもしれない。しかし、そもそも「秋華洞」はこの長引く不況のさなかに立ち上げた会社だ。何もないところに種をまく、という仕事以外にしてきたことがない。今回、どういう結果になるのかは明日を待たないとわからないが、確実に台湾の人たち、そして、この台北に来た各国の人たちに、池永、岡本、阿部の名前と、浮世絵を扱う秋華洞の名前を覚えてもらうことが出来たと思う。
実際、注目を集めている感じる事がいくつかあった。アートフェア事務局のギャラリーツアーを主宰する男性が、池永に詳しく話をプレビューの時に聞いていたが、初日の金曜日に、ずいぶん大勢のギャラリー(100人近くいるように思えた)を引き連れてやってきた。
次に、赤い髪がトレードマークの陸蓉之(Victoria Lu)さんという女性教授がやってきて、おまえのところの企画のコンセプトと全作品を送れ、セミナーで
紹介する、と言ってくれた。酒でグダグダになった脳みそで全作品を撮影(ギリギリに出来た作品もあるので、手持ちの画像がなかったのだ)、コンセプトノートなども探して彼女に送った。いつセミナーをやってくれたのか把握していないが、果たして、初日にこれまた恐ろしく多くの人が来て、山手線ところでない人垣。もうみんな写真を撮りまくって凄いことになった。今回の展示は基本的に「NO PHOTO」ではない。むしろ撮影して、広げて欲しいと思っているので、ツイッターやらブログやらFBやらタンブラーやらで拡散されるのは歓迎だ。直接の購入顧客とこうした人たちとははっきり言って異なると思うが、下地としての知名度は大事だ。
こうした素直な反応は、やはり日本ではなかったと思う。曇りなき眼で見れば、池永の実力と先進性、独自性は明らかだと思っているので、認められたようで嬉しい。さらに今回の展示のコンセプトまで聞いていただいた事は誇らしい。陸さんがどのように伝えたのかは、知らないし、彼女にとって、どのような展示だったのか、聞いていない。もし彼女の講演を聴いた人があれば、教えて欲しい。
本来、最後の日まで私がいるべきところであるが、父の具合が悪く、代表としての役割、あるいは査定のご相談を父の分も私が引き受けている事もあって、会社をあまり長期間離れられなかった。台湾の名物、夜市などもひやかしたいところであったが、それも叶わなかった。朝まで飲み歩く、なんてのもいいんだけどね。今回はあくまで控えめに。とまれ、土日月の三日間、スタッフの大久保と、池永・岡本の作家さん、現地の通訳スタッフさんが、この展示を支えてくれている。本当に有難いことだ。
また、今回初めて海外に出るにあたっては、親しい画廊さんに、たいへんお世話になった。この場を借りて御礼申し上げたい。現地通訳の学生さんも、たいへん忙しい学業の合間を縫って、協力してくれた。有り難う御座いました。事務局のTingyさん、Jocelynさん、シンワシッピングさんにも、大変お世話になった。有り難うございます。こういうご縁があって出来る事だし、こういうご縁を大事にしていきたい。
そして、会期は残すところあと一日。幸運を願う。必ず、やったことは結果に出て来ると思う。今までもそうであったように。
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