文化は武器より強し
と、言ったわけではなくて、文化が覇権の裏付けになっている、という卓見を藤原正彦氏が週刊新潮6/17日号のコラムで書かれていて興味深い。明日のメルマガでも触れるけれど。
以下引用
「世界に覇をえるには何が必要か。イギリスが七つの海を支配した19世紀中盤から20世紀初めの頃、イギリスの有する世界に冠たる力は海軍だけではなかった。文化の力も抜群だった。文学ではディケンズ、ブロンテ姉妹、トーマス・ハーディ、コナン・ドイルと目白押しである。自然科学では進化論のダーウィン、電磁気学の創始者マクスウェル、原子物理学の祖ラザフォードなどがいて、哲学のラッセルや経済学のケインズが若手として台頭してきていた。この文化の力を背景に、イギリス人は世界を闊歩し、世界の人々も彼らの言うことに耳を傾けた。19世紀末からヒットラー登場の頃までのドイツも物凄い文化の力を誇っていた。・・・(中略)・・・現在アメリカが世界の覇権を握っているのは、軍事力と経済力によると思われているが、それは表面に過ぎない。根本的には文化とりわけ学問の力なのである。現代において、軍事力は優秀な兵隊や指揮官などではなくもっぱら科学技術力で決まる。・・・(中略)・・・日本をはじめ世界中が中国の勢いに目を奪われそれ(世界覇権)を懸念し始めている。懸念には及ばない。・・・(中略)・・・これが(文化が)貧弱だから中国の伸びは遠からず飽和点に達し停止する。(後略)
中国云々はともかく、物事の本質を丁寧に説明する手腕は数学者の面目躍如である。彼の言説を読んでいると、オトナの「常識力」の強さを感じる。
そういう訳で、我々はますます自分の仕事に専念すべし、という訳である。
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