銀座の画廊<秋華洞>社長ブログ

美術を通じて日本を元気にしたい! 銀座の美術商・田中千秋から発信—-美術・芸術全般から世の中のあれこれまで。「秋華洞・丁稚ログ」改題。

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生きること、経営のモクテキ

   

ただ、勝間さんが書いている事のストーリーのキーワードに「コスト」と「ベネフィット」があると思うのだけど、それで一元的に説明できてしまうとすっきりする、という一貫したメッセージには問題があるとおもう。

勝間さんに限らず、たとえばわたしたち美術商は「もうける」のが目的だから、と前提として言う人が多いので、意識的、無意識的にそう考えている人が多いと思うけど、自分にトコトン質問したときに、サイゴに残るのが「カネ」だろうか。「カネ」であれば、無数に稼ぎ方があるはず。

ドラッカーの「マネジメント」や「もしも野球部の女子マネージャーがドラッカーを」でも「目的」を勘違いしてはいけない、とある。「目的」はタテマエではなくて、本当に目指すべきことを指す。企業経営の場合、「利益」それも「最大限の利益」は目的でなく、義務、だというのだ。

義務、と、目的、ではずいぶん意味が違うはずだ。で、金儲けが目的、だとすると、美術商なんてやってられる仕事じゃあないように思う。いや大抵の仕事は違うのじゃないか、ま、別に強弁する必要はなく、そう思っている人はそれでもいいのだけど。

つい最近、劔岳、という映画を見た。黒澤組の撮影監督が指揮した映画だ。命がけで映画を取っていて、ほとんど不条理とも言える情熱である。この不条理な情熱に、浅野忠信も、香川照之も共鳴している。言葉を変えれば、修行、苦行の映画である。
http://www.tsurugidake.jp/

わけのわからない感動と尊敬の念が映画と人間に沸き上がってくる。

多くの美術家もそうである。絵描きも、金儲けでやれることではない。もしそうだとしたらどこかで道を踏み間違えているだけだ。

「コスト」と「ベネフィット」は重要だけれども、その先に何を見ているのか、そこが重要。
わかりやすくいえば「笑顔」でもいいんだけどサ。言葉で「笑顔」っていっちゃうと、軽いからサ。

 - シヤワセ