銀座の画廊<秋華洞>社長ブログ

美術を通じて日本を元気にしたい! 銀座の美術商・田中千秋から発信—-美術・芸術全般から世の中のあれこれまで。「秋華洞・丁稚ログ」改題。

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アバター AVATAR IMAX3Dで見てきました

   

アバターは川崎のIMAX3Dをチケット予約していたので、行きました。チト体調良くなかったのだけど、キャンセルできないという仕組みだそーで、ともかく行く。
事前に調べたところ、賛否両論。面白いというひとが過半数だけど、物語がステレオタイプ、という批判と、3Dが疲れて耐えられない、という意見も。そういう訳で、なるべく期待しないように、と妻と自分に言い聞かせて鑑賞。
結果。
いやいやいや、なかなか良かったですよ。インディアンを模した異星人を殺戮する悪い白人、という、「よくある図式」に当てはめちゃって、退屈、という意見も確かにわかりますけれども、そこはエンターテイメントだもの、ある程度の通俗性には目をつぶらなきゃ。というか、ベツにいいんです。そういう意味での通俗性はどうだって。面白ければ。
肝心の3Dの描写だけど、これはもうオトナの使い方ですね。ことさらに3Dを強調する、というより、舞台の雄大さを3Dを「活かして」描いており、3Dであることを観客にコレデモカ、とわからせる、という用途にはもう殆ど使っていない。3D以外の上映館でもそういう意味では十分楽しめる。第一、3D、ということは後半もう忘れてます。もう3Dが当たり前に見えてきて。2時間も見ているとことさらに3Dを意識しなくなります。だって、普段3Dで見てるのだから。ただ、目への負担は大変かも。どうも今回の「3D」は3方式ぐらいあるらしく、IMAX3Dのほかに、real3Dとかいうのがあるのかな、このreal3Dというのは眼鏡が重いらしい。ホリエモンのブログによると、アタマのサイズにあわなくてずり落ちる、ということもあるのかな。IMAXの場合、眼鏡は軽いし、とくにサイズが問題になることはなかった。しかしそれでも、眼鏡掛けた瞬間から、なぜか涙が止まらない。どうも目に負担がかかっているらしい。なんらかのストレスは感じさせる可能性がある。こういうデータをしっかり集めて次代の3Dは開発して欲しい。ちなみに予告編によるとティムバートンが「アリス」で3Dを使うようだ。これは非常に楽しみ。

今回の映画が成功しているのは、やはり脚本が大きい。舞台設定のネタ自体は宮崎アニメ(ラピュタがメインかな)とか、「エイリアン」の寄せ集めという感が非常に強いけど、人物や出来事にソレゾレ必然性があって、伏線が綺麗に張られていて、ストーリーに破綻がない。前半に見せた猛獣たちや、飛行機などのメカのギミックも含めて、ちゃんと後半に生きてくる。こういう様々な要素をまとめ上げて作品に仕上げる技量というのはやはりキャメロンに負うところが大きいのじゃないか。「ターミネーター」もよかったけど、やはり「タイタニック」はたいしたものだし、テレビシリーズの「ダークエンジェル」も最高だった。技術とストーリーを整合性と必然性を持って結びつける、右脳と左脳といいますか、理系と文系といいますか、情緒と理性といいますか、バランスの取れている監督ですね。
今回3Dを作るのに必須といってもいい、CGが多用されている作となる。「ナヴィ」という異星人はすべて3Dなんだが、表情が作り物っぽさから逃れている。これは、いちいちちゃんと配役した俳優にやらせているらしい。つまり表情を機会で取り込んでCGで表現している。ここでCGを使う必然性を持たせているところが良い。人間をCGで作って、人間がその動きをやってコンピューターに取り込んだら、生で演じるのの数倍のコストがかかってしまう。が、ここは異星人、ということで必然性が生じている。しかし、ここまでリアルに出来るのであれば、人間の出て来るシーンも相当数CGが使われているのかもしれない。そうなると、もう映画を見ても、本当かどうかもうわからなくなっている時代が来ているのであろう。これは恐いですねえ。
CGを使う怖さは、リアリティをすべて奪ってしまうことだ。スターウオーズの6部作、後半のエピソード1から3はもう激しく詰まらないのは、CGでーす、いっぱい飛行機とびまーす、こんなことも出来ますよ、と整然と盛大にCG使って、チットモ迫力が出ないところである。CG使わなかった2001年宇宙の旅の100分の1の興奮もない。これは悲しい。CGを使うことが、リアリティをさらに深める使い方にならないと意味がない。このことについては、やはりキャメロンは十分に考えているのだろう。白々しく感じるような使い方はなかった、といってよい。けれども、迫力あるシーンの多くについて、どうせCGでしょ、とまあ思わなくもないので、これからもCG使うのが是か非か、というテーマは出て来ると思う。
まあ、ともかく見ておくべきです。この映画は。

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