銀座の画廊<秋華洞>社長ブログ

美術を通じて日本を元気にしたい! 銀座の美術商・田中千秋から発信—-美術・芸術全般から世の中のあれこれまで。「秋華洞・丁稚ログ」改題。

*



オークション

   

 

オークション会場に行く。日本のオークションと比べて特別のことがあるかといえばマアそうでもない。案外日常的な空気が流れている。

 

部屋のしつらえなど、もちろん多少違うけれども、びっくりするようなものではなかった。売買の場というものはそういうものか。

 

午後はまずチェルシー地区へ。短い時間で、コンテンポラリーのギャラリーを見て歩く。どれも倉庫を改造した、ギャラリー。ギャラリー自体が何かクールな感じ。装飾をそぎ落として、ごく機能的に作品と事務販売の机、資料庫などが並べられている。こういうのがかっこいいんだろうな。

 

やはり印象に残るのは今話題の作家、Damien Hirstの展覧会。

 

大ぶりのキャンバスに、薬の錠剤、注射場面、手術室、脳みそを保存する場面、脳みその輪切り、事故現場、事故後とおぼしき人の血塗れの顔、エイズとおぼしき女性の顔の変化、など、死の表面の手触りをさまざまに確かめるような表現のオンパレード。それもどこかにある種の皮肉のような醒めた視線を感じる。色の小円と、コダックのカラースケールを「描いた」ものもあった。これらの作品の販売価格・卸価格は100万ドル(一億円)は下らないらしい。(値段は見なかったが、リトグラフも売っていた)

 

切れるような反モラル。IT長者の若者がこうした絵を購入するらしい。しかし薬やノーミソの絵を部屋に飾って喜ぶ神経というのはどういう連中なのだろう。

 

 03d3e50f.jpg

さらに短い時間だが、セントラルパークと、公園の東西にあるアッパー・イーストとウェストの地区を見て歩く。公園は美しく、歩くのは楽しい。

 

ついでに、その門前でジョンレノンが暗殺されたことで有名になってしまったダコタハウスなども見てきた。門番二人の上でなんと、本物のかがり火が燃えている。さすが高級アパート。


帰りは超高級ホテルのプラザホテルの一階のオーク・バーで夕食。ここは見かけ倒しで食い物はたいしたことなし。サービスも。だが、ここを楽しむ人々のカジュアルな雰囲気は良かった。しかし一人で過ごすのはつまらない。

 - エクストラ