柳画廊さんの奥様の本と安河内さんの本
今日仕事(日曜日も仕事があるのです。交換会という名前の)の帰りに有楽町三省堂に寄ったら、柳画廊の奥様の「銀座の画廊経営」という本がビジネス売り場にならんでいた。
この美術業界でメルマガをやっているのは、多分彼女とウチ(最近はスタッフが書いているけど最近やっている英語版は僕が書いてます。翻訳は人に頼んでるけど)だけだと思うので(他にもいるでしょうけど、毎週に近いペースで出しているのは)、時々読んでおりました。彼女の画廊が主催する講演会にも1,2度いかせていただいて。
本になる、という話は、記念パーティの招待状が来ていたので、知っていたのだけど、実際に見ると実感がわく。偉いナー。
で、ウチのメルマガが本になる、という話は特にないので、その違いは単に運命という事以外に、やはり内容にあるのではないかと思い、読んでみました(ごめんなさい、今回は立ち読みです)。
やはり交換会や画商感の取引の実際がかなり具体的に書かれているのが特長。他の業界から来ると、様々な画商の日常が新鮮な言葉で語れるのだ。最近は、早くもこの画商の世界にはまってしまって、自分の行動やこの業界のことを俯瞰してみていないのじゃあないかとちょっと自省。
でも、やはりどこまで自分の仕事を書いてしまうのか、けっこう色々考えると書けなくなってしまうことも自分の場合は多い。また、業界内では情報が命だから、私にしゃべるとネットに出てしまう?と思われるのは不本意だったりする。
それでも、私という人間を、店や会社を、業界を、信頼していただき、親しみを感じていただくためにブログやメルマガを書いているのだけど、メルマガやブログは皆さんにどういう「貢献」が出来ているのか、考えて、書いてみるべきかな、と改めて考えたりします。
そういえば、鑑定団に出演中の安河内 眞美さんの本「くつろぎを知る大人の骨董入門」という本を、ぎゃらりい思文閣でいただいたので、これも先日読破。安河内さんは、思文閣の社長が鑑定団に出るのにも紹介していただいた方で、以前から私たち田中一族とは縁のある方、といっても私は挨拶程度なんですが。
鑑定団では率直に感想をいうのでもしかしたら意地悪っぽく思う人もいるかも知れないけど、実際に会うと、すごくなんというか女らしい色っぽい人である。たたずまいもごく控えめ(よく知り合ったら違うのかも知れませんが)。で、この本に書かれている内容もすごく共感できる内容。和をさりげなく生活に取り入れましょう、という女性らしい生活感と実感にあふれる提案もさることながら、美術の真贋の見分け方の本質や、高価なレプリカよりもやや無名の本物を飾られた方がよい、という価値観など、心ある美術商の、心のありようを表現されている。
神田昌典さんの格言に「本を書け」というものがある。今の自分の経験や物の見方を一回何かに書いておく必要はあるかも知れない。でもちょっと自分はインプットが足りないと思う。
そのほか、今日読んだ本は、「日本は没落する」榊原英輔、「レバレッジ人脈術」本田直之、「へうげもの一巻」、「PLUTO5巻」最後の二つは漫画である。へうげもの、というのは最近話題の古田織部が主人公の物語。PLUTOは手塚治虫のアトムを浦沢直樹がリコンストラクトしたもの。
日本は没落する、まさに実感である。これほど政治が堕落、マスコミも堕落して、ポジティブな提案が生かされない時代もない。株価は12000円くらいまでは行きそうである。榊原英輔は、サブプライムローン問題は、アメリカの金融バブルの崩壊そのものと喝破する。無限にふくらむ金融工学による信用が膨張して、収縮しただけの話だと。
実体経済を離れた金融は、いつかパンクする。結局は、もうけは、技術が生み出す付加価値なのである、という事が書いてあったように思う(まだ半分しかヨンでないけど)。
ひるがえって自分の仕事を考えると、画商の仕事は目利き力、説明力、コミュニケーション力、情報力が「売り」の要素だろう。煎じ詰めて言えば「目利き力」。自分の仕事の存在価値を忘れないようにしたい。