東美特別展
3年に一度の東美特別展に、行って参りました。
今回は正直、感動!という感慨まではなかったのですが、全体的に思うのは、最近の作家さんよりも、江戸から昭和の初め頃の作家さんが面白いかな、ということでしょうか。
京都のナゾの美術商、某ブースは、すごかったですね、小品なりとも超名品ばかり並べていらした。ああいうふうに集められると言うことは大変なこと。
もひとつ京都の母屋、思文閣のブースは鉄斎。(とブンチョウ、チクデンなど)鉄斎は絵がそうとうわかってこないと良さがわからない、とある先輩に先日言われたのですが、そうしてみてみると、やはり独特のエネルギーを感じて、この方の絵に大枚数千万を払いたくなるのが美術商、コレクターの成熟度を表すのかも、と思ったモノでした。私の目はまだまだですが、鉄斎はやはり非凡。鉄斎は自分は絵描きじゃない、と最後まで主張していたそうだが、絵描きを職業にしてしまうとダメなんだろうな。職業でない何か。たとえば祈りのようなもの。村上華岳の絵に「何か」があるのはそのせいでしょう。「美術商」としての「私」は本当は何であろうとしているのか。まなんかね、小難しいこと言おうとして自己陶酔しちゃあいけませんが。
ちなみに今回は東京店、展示にこっていました。さすが。
藪本さんはさりげなーく俵屋宗達やほうちゅうなど、琳派をさらっと掛けていて心憎い。私どももさらりと銘品を飾れるようになりたいモノです。
この舞台、東美は加入も、さらにこうした企画に参加するのもとても基準が厳しいのです。しかもこのフェアーは3年に一度。今回見逃した方、3年後は見逃さないでくださいね。ちなみに東美では年末にも企画があるようです。アートフェア東京もいいけどあちらはコンテンポラリーがどうしても主役になりがち、やはり日本人なら東京美術倶楽部へどうぞ。
突然ですが、今こちゅうきょ(壷中居)さんのご主人(先代かと思いますが)の自伝を読んでいます。めっぽう面白い。この商売をやってますとね、損した得した、銘品を手に入れた手放した、苦労したいじめられたほめられた、みたいなハナシがとてもとても面白いのです。結構コレクターさんには須之内徹さんの「気まぐれ美術館」が人気のようですが、私はむしろ広田さんのこの地べたを這うようなハナシが共感できて好きですね。おなかすいたとか冷たくて手がかじかんだとか、眠ってなかったとか。一生懸命やるのがやはり人生面白い。まだ前半5分の一ぐらいしか読んでませんので、後半はきっと雰囲気がかわるのだろうと思いますが。でもね、一人の人の人生の背骨には貫くものがあるんだよなあ。きっと。経験は増えるが魂は一貫しているから。いきかたはピュアな魂の表現でありたい。
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