銀座の画廊<秋華洞>社長ブログ

美術を通じて日本を元気にしたい! 銀座の美術商・田中千秋から発信—-美術・芸術全般から世の中のあれこれまで。「秋華洞・丁稚ログ」改題。

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クローズドノート

   

クローズドノート
沢尻エリカと竹内結子の「クローズドノート」テレビで見ました。

いい映画じゃないですか!!

週刊文春に、例の沢尻の不機嫌な挨拶の原因は、映画やテレビの現場のダレぶりに不満が募ってのことだった、と書いてあったが、少なくとも完成品を見る限り、いい加減に作った映画とはとても思えない。

とくに行定監督は、相米の「雪の断章」や、大林の影響を受けて作ったことを言明しているらしい。エライ!相米に影響を受けたなんて、わかっているヤツはわかっている!もし映画界に入っていたら、こういう監督になりたかった!ほんの少しクヤシイけど、やっぱりこういう日本映画の良質な部分を受け継いで作るヒトがいないと。作家性のある監督は黒沢清だけだった感があるけど、この10年、でもポジティブな映画、ロマンのある映画、を作る監督はいなかった。やっと出てきてくれてよかった。

この映画の好きなところは、主人公のイラストレーターのオトコに、窓の外でエリカが「私じゃダメですか?」「ゴメン」と振られる場面。この場面のためにあのアパートと階段のセットは作られたのだろう。沢尻の泣く演技は完璧であった。振られた直後のニンゲンノ反応がリアルだなあ。だれっでも一回くらい経験アルでしょ?あんな美人が振られるなんてあるのか知らないが。

で、沢尻が不満に思った理由があらためてわからなくなった。どのみち、舞台でジブンをコントロールできない、というのは、演技云々の前にプロとして失格だけど、でも魅力があるものなあ、考える力もありそうだし。なんでああなったか、10年後でもいいから説明してほしいね、「若気の至り」を。たんなるバカなタレントなら興味ないが、あれだけの表現力を持つ女性が、あんな子供じみた態度をとったことの理由は興味があるな。あるいは表現力があっても人間性はダメダメということもあるかもしれないが、もしそういうことだとしてもやっぱり興味がある。

独得の魅力をたたえたオンナ、ということではかつて大竹しのぶがそうだったけど、沢尻エリカは、また別の世代の大物として出てきたな。監督するのは大変だろうけど。監督も120%の力を出していかないと、バカにされそうで。

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