銀座の画廊<秋華洞>社長ブログ

美術を通じて日本を元気にしたい! 銀座の美術商・田中千秋から発信—-美術・芸術全般から世の中のあれこれまで。「秋華洞・丁稚ログ」改題。

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謹賀新年令和7年

   

あけましておめでとうございます。
今年は日本にとって、すべてが良くなる起点の年だと思います。
さまざまな帷(とばり)が剥がされ、日本と日本人の本当の姿がよく見える年になるでしょう。

私たちの眼前には、幾重もの帷があります。


 一つ目は明治維新以来の帷です。江戸時代がすべて良かったとは思いませんが、明治維新で失ったものは数多くあるでしょう。幕末の草莽決起の拠り所となったのは、当時の藩校や私塾を中心とした立志の繋がりでした。地方には志ある若者の学校があり、それが維新を成し遂げる力となった一方で、維新後の社会では神と仏が一体となった日本独自の拠り所が崩れてしまいました。地方と宗教、つまり土俗信仰が失われ、私たちは知らないうちに多くのものを失ったのです。維新で失ったもののなにがしかを西郷隆盛は象徴しており、私たちはそこをもう一度よく見る必要があるのです。

 二つ目は戦後体制の帷です。敗戦後、それまでの日本の習慣や価値観が再び壊されました。本が燃やされ、立派な人物が追放されたことにより、私たちは知恵や誇りを失ってしまいました。

 三つ目はコロナ後の社会の帷です。「保健衛生」を旗印に、周囲との親交を深める力が弱まり、社会はバラバラの個にされつつあります。それ以来、日本人の人口減少は、もはや取り戻せない速度で進んでいます。さらに、国会ではSNSの制限を議論する動きがありますが、マスコミや政治が正確な情報を提供したことが果たしてあったでしょうか。私たちは、自分自身の言葉を磨き、本当の言葉を見つけていかなければなりません。

 総じて、三度にわたり日本人は魂の歴史を消されそうになっています。
しかし私は思うのです――一体何者がそれを消そうとしているのか?日本人は自らの存在、魂、そして人口を削られるのを受け入れているのか?それは何のためなのでしょうか。

 それは、日本が「人の和」を保つ心の世界を根底に持っている証ではないでしょうか。それを消そうとする人たちがいる。今年は、アメリカで政権が変わるだけでなく、昨年から大きな歴史の流れが変わろうとしています。日本では何事も遅れがちですが、良い変化を迎えるにあたって、日本人の心はその変化に最も適したものであるはずです。この流れが今年、確実に変わると信じています。

日本人は、議論を筋道立てて行うのが苦手だと言われます。しかし、心が本当に澄んだ状態になるとき、強い力が生まれると思います。東北の震災ではその力が発揮されましたし、映画や絵画、日本の伝統芸能を見ても、そこには品格があり、心に強い力を与えるものがあります。

 映画では黒澤明、小津安二郎、溝口健二がそうでしたし、日本美術の世界では横山大観や竹内栖鳳がその代表でした。品格と度量のあるこれらの作品や芸術は、日本の力の確かさを示しています。

 これからは、三度にわたる魂の危機を見つめなおすことによって、それらが逆に日本の力を強くする出来事に変わり、日本も世界も変わっていくと思います。

 日本に確かな力があるということを、日本人それぞれが自分の立場で見つめ直すことが重要です。思想の面では、仏教や神道に秘められた歴史を解き明かすこと、2000年に及ぶ歴史を深く考えることが挙げられるでしょう。経済や税制の未熟さもあるでしょうが、大事なのは徹底的に考える力と強い精神力です。

 私自身、今年は還暦を迎えます。一度ゼロ歳に戻ったつもりで、これからの日本を文化の面で支えていきたいと思います。

 日本は本当の変革期にあります。嘆く向きもあるでしょう。政治家がいない、識者がいない、リーダーがいない、産業がいない、人口が少ない――けれど、それらはすべて、日本人が強いからこそ与えられた試練だと思います。私たちが本気で生きなければ、この日本のために命を捧げた戦争の犠牲者たちに顔向けできないでしょう。

 私は、秋華洞を画廊としてこの厳しい時代に強くすることだけではなく、日本を強化することに役立てたいと思っております。将来的には前途ある若者が自分自身の意欲を現実化する力を養うことのできる塾、そして農業、ホテルなど、一体化した経営を行えればと考えております。美術・文化が日本の本来の姿を形作ることができるものでありたい。そもそもそういうものであったし、これからもそうであり続けるだろう。

どうか皆さんにおかれましても、ぜひご協力いただければと考えております。本年もよろしくお願い申し上げます。

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