フリーズソウルとKIAFに行ってきました。
韓国から戻りました。フリーズソウルとキアフアートフェアを駆け足でまわりました。韓国は10年ぶりです。
フリーズというのはバーゼルと並んで世界のもっとも活発なアートフェアです。同名の雑誌が運営しています。
台北ダンダイなど行くと、メガギャラリーに赤絨毯がひいてあって、アジアのギャラリーは格下、みたいな配置がちょっと気になったりするのですが、このフェアはもう少し「フェア」な気がします。
キュレーションは西洋礼賛でもなく、特定の国や勢力贔屓でもなく、観客を楽しませることに集中している気がします。
まだできて間もないギャラリーも、ちらほらいるし、同時開催のKIAFに行かなくてもちょっと小さなギャラリーを見られることも心憎い。
さて、ここでは別段フリーズを誉めるために投稿したわけではありません。フリーズが東京をスキップした理由について書きたいと思います。
現地にいると当然と思えてきます。毎晩画廊街ごとにお祭りがあります。銀座の「画廊の夜会」と似た催しだが、熱気が違います。十倍以上のエネルギー。
人の数もアートの質量も圧倒的です。韓国は財閥系のギャラリーが多く、日本で言えば三菱やホンダが画廊やっているみたいなものなので、規模が違うのは当たり前といえば当たり前です。
さらにいえば、税制も日本はひどすぎます。消費税を美術品にかける、という暴挙が続いている国は先進国では日本だけかもしれません。欧米と韓国では無税。香港ももちろん無税。これは実は海外のグローバルギャラリーを妨害する最大の試練になっています。
けれど政策の元の元は国民の力。美術品など「金持ちの道楽」として捉えて何もしない国と、どんなに苦しくてもアートは国の力そのものと考えて官民問わずエネルギーとお金を注ぐ国では、差がついて当然です。
と、いうようなことをフェースブックに書いていたらミズマギャラリーの社長ミヅマさんが、そのフェースブックに日本は差をつけられておしまいだ、と嘆くのは早い、日本にしかない良いところはたくさんある、ということを書かれていて、そりゃそうだよね、とアタクシも思いました。
何しろ2000年のアートの歴史を持つとも言われる日本は、日本でなければなしえない文化の蓄積があるのは皆さんご存知のとおりです。そうでなくても、日本にも優れたアーティストは明治昭和令和、山程いてその層の厚さは他国の追随を許さない。
でも、それで束になっても隣国の韓国の背中が見えないようにも思われるのは、やはり日本が全体として機能不全じゃあないかとも思えるのです。
消費税の問題ひとつとっても、国税が悪いとか、その上に載っかているらしいアメリカのディープなんとかが悪いとか、色々言えますが、政府官僚がなんにもやらなくても、国民みずから自尊心を育てることが大事だと思えるのです。どんな形でもいい。先祖を敬い、自分たちの生きる価値を高めること。それは日本を含むさまざまな文学・映画・芸術そして歴史を学ぶこと、学ぶ楽しさを広げること。
あ、日本の話しになってしまった。
フリーズも韓国も面白い。自分にとってはあらたな発見でした。