明日から「奇想・快想」展
明日から「奇想・快想」展覧会が秋華洞ではじまります。スタッフの上村が素敵な案内状を作ってくれたので、下記に貼り付けておきます。
「奇想・快想」展のご案内
秋華洞では、「アートフェア東京2020」の開催中止に伴い、出品を予定していた作品を3月19日(木)から29日(日)まで銀座弊ギャラリーにて展示いたします。
本展示では、「奇想・快想」と銘打ちまして、大胆でときにグロテスクとも言える表現でアバンギャルドな江戸絵画を生み出した伊藤若冲、曽我蕭白、長沢蘆雪、歌川国芳といった「奇想の画家」たちの姿に、4人の現代アーティスト、上根拓馬、鈴木博雄、服部しほり、狄青(ディー チン)の生き様を重ね、新たな「奇想」そして、胸のすく「快想」の作品群をご案内いたします。
豊潤なアジア、日本美術が芸術性とともに培ってきたエスプリやユーモア、自由闊達な解釈を、現代に生きる彼らの感性と技術がいかに体現してゆくのか、どうぞご注視ください。
◆上根拓馬 立体インスタレーション作家
古来より日本文化の中核をなす仏教思想と、土着の自然崇拝。唯一神ではなく、宇宙を構成する様々な役割を持つ様々なスピリットを受け入れ、祈りを捧げてきた日本人。
その対象として、戦後の子供の心を捉えたのはガンダムなど、強い正義の象徴としてのロボットヒーローである。上根の作品は、日本の新旧の文化を、現代の日本を表すメタファーとして体現する試みである。
彼のフィギュアはF1の車体に使われるFRP樹脂など様々な新素材が用いられた近未来的な造形でありながら、時には動物の骨という原始的な「顔」を持つ。純粋な感動の対象としての新たな仏像群は、日本的なもの、人類の思想とは何か、という主題を追求している。
◆鈴木博雄 日本画家
浮世絵や江戸絵画に見られる人物図様をこどもや動物に置き換えるなど、馴染み深い古典的モチーフをどこかほのぼのとした世界観に変容させ、近世絵画への「読み替え」を図る。時に、その親しみやすさの裏に、痛快な社会風刺のエスプリやユーモアを潜ませる鈴木の作品は、伝統的な「見立て」の表現を超えて、観者に「今しか描けない」現代の日本画の意識を呼び起こす。
さらに近年は、ポップアートと日本画の共生、立体造形など、新たな表現方法を模索しながら、その世界観をますます拡張している。
保存修復を専攻し、古画研究に裏打ちされた高い専門知識と技術から生み出される心和む作風が、国内のみならず、海外の美術愛好家をも魅了する。
◆服部しほり 日本画家
京都を中心に活躍する服部は、大和絵から狩野派、琳派や浮世絵といった日本美術の源流とも言うべき絵画表現や技法、情趣を吸収し、瑞々しい感性を混ぜ合わせて力強く発散する。
「東洋画の真髄は線である」と語り、古典技法を活かした艶やかな鶏図や墨線の冴える人物像を得意とする服部だが、最も多く描かれるのは自身の分身とも言う奇妙な「オヤジ」の姿である。
画中で強烈な個性を発揮する彼らは、鬼でも仙人でもなく、むしろ理想の人間でさえあるという。その「オヤジ」の姿を通して語りかけるのは、清濁併せ呑む豊潤な世界のあり方。特異な物語を創造する彼女は、現代の日本画家を牽引する若きホープである。
◆狄青 Di Qing (ディー チン) 画家
古典的な様式美のなか、現代的な物象と幻想が混じり合う。欧米や日本、台湾、中国を旅してきた彼女が見つけてきたアジア的な「何か」が、一種のトランス状態に誘うかに見えるSF的で幽玄な世界に定着している。
中国出身のアーティストとして、急速に有名になり、すでにアジアで高い人気を誇る彼女であるが、日本での紹介は今回が初となる。
大胆にアジア芸術を引用した彼女の絵画は、苛烈な現代アートシーンに果敢に挑みながらも、同時にどこまでも静謐で湿潤な世界である。
中国の歴史はときに残酷でさえあるが、それが故に穏やかな理想の世界を求め、千年前に「南宋絵画」が生また。彼女の絵画世界の穏やかさは、「現代の南宋画」と呼んでもいいだろう。
外出が難しい時期のご案内となり心苦しくもありますが、是非この機会に「奇想・快想」展をご高覧いただけますと幸いです。
「奇想・快想」展
会期 2020年3月19日(木)〜29日(日)
会場 ぎゃらりい秋華洞
〒104-0061 東京都中央区銀座6-4-8 曽根ビル7階
03-3569-3620
時間 11:00~17:00 会期中無休
備考 各作家の新作は会場にて販売いたします。
また、作品の販売はお電話、メールでも受付けておりますのでお問い合わせください。
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