銀座の画廊<秋華洞>社長ブログ

美術を通じて日本を元気にしたい! 銀座の美術商・田中千秋から発信—-美術・芸術全般から世の中のあれこれまで。「秋華洞・丁稚ログ」改題。

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池永康晟さん違法エスタンプ事件

   


 先日、池永康晟さんのエスタンプ(複製)を勝手に作って販売していた業者が、警察によって検挙され、書類送検されました。

これは池永さんの並ならぬ執念の賜物であり、動いてくれた警察の誠実さを示すものでもありました。

FNNなどニュース報道でも大きく取り上げられた

 昨年の春、ヤフオクで明らかな違法コピーが出品されている、と知らせてくれたのは池永さんご本人でした。ご丁寧にこのコピーにはスペイン製の「鑑定書」なるものも添付されています。出自の謎なものですが、著作物を管理している私どもにはひと目で分かる偽物です。この出品者は他にも草間作品の違法コピーも販売しており、本来数百万のものを数万、数十万で販売している確信犯でした。

 おそらく、こうした悪どい「業者」(古物商とニュースでは出ていましたが、こんなの古物商とはいえません・・・単なる確信犯の詐欺者です)は、掃いて捨てるほどいるのでしょうが、池永さんは絶対に放っておけないと真剣でした。本人が住まいの近くの警察に被害届を速やかに出しに行って、事態は動き出しました。

石神井警察

 正直を言えば、こうした案件で、警察が真剣に動いてくれるとは信じていませんでした。ですが、やはりそうした諦めや決めつけが如何に未知の可能性を潰しているものか、と今回思い知らされました。

 勝手なことをさせない、という池永さんの情熱が一途であったことが、何より大きかったと思います。意思は、人を動かします。アートもりもとさんと、私達秋華洞は、犯人への警告や、情報の共有、警察への情報提供などに取り組みました。警察も、期待以上に一生懸命動いてくれました。  

 うちの画廊にも何回か来ていただいたので、事情をお話しました。刑事さんという職種はドラマでみると怖そうですが、案外普通の方です。そして状況を理解しようとしてくれていることはありがたいことでした。ただ「ネット」と「アート」という警察からすると少し特殊な世界の事件性を伝えるのには、時間がかかりました。

 大変だったのは、「版画」というものの意味を伝えることです。「版画」作品が、なぜ値段がついて販売されており、作者のクレジットがあり、無許可とそうでないものの違い、あるいは「本画」と「版画」の違いを、理解してもらうのが大変でした。そのくらい「絵」について素人だった石神井警察の担当者が、事件の意味を理解して、犯人のパソコンを押収するところまで動いてくれたのは、正直驚きでした。やはり警察力は凄いと感じました。

 普段、警察には悪いイメージを抱きがちの面もあります。けれども、普段の治安を守ってくれて、なにかあったときに動いてくれるのも警察。今回、彼らが動いたエネルギー、費用も相当なものと思いますが、何も請求されるわけではない。知らない間にお世話になっているところも大でしょう。なのに、普段の感謝は足りないな、と思います。

 ヤフオク上でも、違法コピー販売を思いとどまらせる効果はあったのではないでしょうか。池永さん、もりもとさん、警察、ヤフーの方、うちのスタッフも、すべての人への感謝を表してこの文章を締めくくりたいと思います。

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