銀座の画廊<秋華洞>社長ブログ

美術を通じて日本を元気にしたい! 銀座の美術商・田中千秋から発信—-美術・芸術全般から世の中のあれこれまで。「秋華洞・丁稚ログ」改題。

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池永展レセプション

      2019/08/01

昨夜は池永康晟美少女画集・出版記念展のレセプションでした。

企画と編集をしていただいた玄光社さんの百武さんや、美少女モデルのひとり、 牧内莉亜 さん。そのほか芸術新潮さんやアートコレクター誌のみなさん、コレクターのみなさん、東映さんなども駆けつけていただき、狭いスペースではありましたが、たいへん盛況な会となりました。

なにしろ出来上がった画集が素晴らしく、池永康晟は今回の少女たちを描くにあたっては、今まで経験したことのない苦労をされたようなのですが、その二年間が報われる出来栄えとなりました。

玄光社さんは「コマーシャル・フォト」や「フォトテクニック」などの写真雑誌で知られる老舗の出版社さん。今回のように絵画とのコラボレーションは珍しいと思いますが、実は池永さんはカメラの腕前も一流、絵画構図も写真的な捉え方をする写真的感性とつながる作風、今回の企画はとてもよい機会でした。

それにしても、 来店した美少女・牧内莉亜 さんはあまりに眩しくて写真に映すのさえ難しく感じました。彼女はこの企画のDMハガキの作品「素顔・莉亜」のモデルなのですが、会話の中で、池永先生も一番苦労した、と発言。


池永康晟先生と牧内莉亜さん

そう、本人が美しすぎると、絵とか写真とか映画とかに魅力を全部捉えようとするのはとても難しいのです。この場で撮るスナップ一つ撮るにしても、現場での実感に追いつきません。よくインスタとかSNOWとかのアプリで「盛る」なんていい方しますが、現場で出会う人の「気」のようなものは写しようがないので、「盛る」というよりもなにか一工夫して足したり引いたりしないと表現にならないのです。これは特上の食材を手に入れたときに、どう表現すれば美味しさをお客様に提供できるのか頭をひねる、料理人の方の悩みと同じかもしれません。

池永先生は、彼女を描くにあたって、わざわざ自宅にプールを作り、そこに彼女を浮かべるという方法を取りました。アイドルを水につける、という方法論はもしかしたら周囲の心配もあったのかもしれませんが、その結果である画集の作品をご覧いただければ、なぜ池永さんがその手法を敢行したのか、理由が見えてくるかもしれません。

さらに女優でエッセイストの小橋めぐみさんが来店。知性に溢れ、しとやかで美しくて、いつまでも一緒にいたくなるような方でした。私どもの展覧会に来ていただいたのは初めてではないようです。いつか池永作品となる日が来るのを願うばかりです。

池永さんも私も53歳。昭和40年の10月初めの生まれで、同年齢の画家には会田誠さん、オスカール大岩さんなどがいます。なんだかね、目やら肩やら心臓やら色々とガタが来ていて、美しさと共にいることは永遠ではないのだな、体に気を使わないと残り時間は少なくないのかな、なんて思わされることが時々起きます。

今回のようにはちきれんばかりの美しい若い魂にふれると、なにか遠くにある「永遠」がそばに寄ってきたような面映い気持ちになるのです。谷崎か。

そういうわけで、みなさま、今後とも秋華洞をよろしくお願い申し上げます。


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