銀座の画廊<秋華洞>社長ブログ

美術を通じて日本を元気にしたい! 銀座の美術商・田中千秋から発信—-美術・芸術全般から世の中のあれこれまで。「秋華洞・丁稚ログ」改題。

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プライスコレクション、出光さんへの驚き

   

おはようございます、美術で日本を元気にする田中千秋です。

プライスさんの日本美術コレクション(一部)が出光美術館さんに収まった、というニュースが流れました。

とっても喜ばしいことだと思います。

若冲で知られる米プライス・コレクション、日本に里帰りへ 一部を出光美術館が購入(産経新聞)

https://www.sankei.com/life/news/190624/lif1906240034-n1.html

伊藤若冲「鳥獣花木図屏風(右隻)」六曲一双 紙本着色 18世紀 出光美術館蔵

世界屈指の日本美術コレクションであるプライスさんのコレクション展は、伊藤若冲や曾我蕭白など、日本古美術で一種のトリックスターの存在であった才能ある江戸の絵師たちの存在を見直させる機会ともなりました。

一方で、出光美術館は百田尚樹の小説「海賊とよばれた男」の小説でも知られる独立独歩の石油元売り、出光佐三が創業した出光興産の美術館です。石油メジャーの強硬な圧力にもめげず、独立した石油販売会社として社員と日本を護り通した佐三は、美術コレクションにおいても、日本の伝統を見事に汲み上げたコレクションを作りました。

その出光さんにプライスコレクションが一部にせよ納まったのは素晴らしいことだと思います。

以前、クリスティーズが東洋陶磁美術館のコレクションの売立てを行ったときのことがドキュメンタリーの番組となり、放送されたことが有りましたが、その時に登場したクリスティーズの日本美術担当、山口桂さん(この方は浮世絵との因縁も強い方です。)が、番組の後半でプライス・エツコ夫妻に自分たちのコレクションの売却を日本人に一括して売ることを要請する場面が有りました。

「一括して」というのはコレクターによくある要望ですが、なかなかドーンといっぺんに引き受けられる美術館・個人は少ないので、どうなるのかなと思っていたら、まさか出光さんとは!

というのも私達にとっても、出光さんは近所だし、心理的にも(こちらで勝手に)近いし、ちょっと意外な気持ちになったのです。プライス夫妻もほんの少し、お目にかかったことがあるので、できれば、自分たちも動いてみたかったな、と妄想を膨らませたのです。私どもも、様々、素敵なコレクションの相続のお世話や、売却などのご依頼をいただいてきましたが、これからよりいっそう、偉大なコレクションを引き受けることが増えるよう、普段の精進を欠かしてはいけないな、と思ったものです。やはりそれには私心のない、ものごとを真っ直ぐに見る精神が必要ではないか、と思うのです。

プライスさん、エツコさんにとって、そうした信頼できる人が、山口桂さんだったといえるのではないでしょうか。

ともあれ、出光さん(最近うかがってないな・・・)に伺う楽しみが、ますます増えました。多分、来年あたりに、このプライスコレクションの披露の展覧会があるのではないでしょうか。楽しみに、待ちたいと思います。

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