銀座の画廊<秋華洞>社長ブログ

美術を通じて日本を元気にしたい! 銀座の美術商・田中千秋から発信—-美術・芸術全般から世の中のあれこれまで。「秋華洞・丁稚ログ」改題。

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ベトナム

   

ベトナム ハノイに来た。

今回の旅行は端的に観光で、もしかしたら将来マーケットになるといいなあというそこはかとない期待をすこーし込めたもの。

動画レポートベトナム 1

ホテルの近くに収容所跡があったので行ってきた。ホアロー収容所という。

フランスがベトナム を植民地にしていたのは19世紀末から20世紀のあの戦争までだが、そのフランスが反抗するベトナム人を抑え込むために作った施設だ。恐ろしく非人間的な牢屋にギロチン室まであって、ここで人がたくさん死んだと思うとあまりに恐ろしいので写真には撮らなかった。ただ香月泰男的な壁画モニュメントのみ撮影した。

大戦後、ベトナム はアメリカとの戦うわけだが、この収容所にはアメリカ兵の捕虜が入れられた。この時、アメリカ兵の待遇はなぜかよかったらしく、バスケ、バレー、チェスなど楽しくアメリカ兵が遊んでる写真や、一人ひとりの兵士のプロフィールが掲げられていた。

写真は夕食の一皿目のオードブル。素晴らしい。

それにしても不思議に思うのはあれだけの総力戦で戦った日本がアメリカに負けて、国力たるや日本とは比べ物にならない小国のみベトナム が戦争で勝って今があるという事実だ。

以前読んだ本に戦争は大国は中規模の国には勝てるが、小国には勝てない、とあった。アメリカは結局はこの内戦に兵力を単独でトコトン投入するにはするだけの理由がなく撤退したということだろう。ベトナム の独立心の強さがもたらした勝利とも言えるけれども、一方で上の大国は小国に勝てない、というセオリー通りの結末でもあった。思えばアメリカはあの大戦以外の局地戦で目覚ましい勝利をあげたことがない。最強国ならではの苦しさもそこにはある。

いずれにしても、共産主義にもかかわらず、中国に心を許さないこのベトナムという国の存立の論理は世界史の中でもとても面白いと思う。旅行は始まったばかり。

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