銀座の画廊<秋華洞>社長ブログ

美術を通じて日本を元気にしたい! 銀座の美術商・田中千秋から発信—-美術・芸術全般から世の中のあれこれまで。「秋華洞・丁稚ログ」改題。

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London Shunga その3

   

さて、その続き。

話は少しかわるけれど、この大英博物館はそれぞれの国や地域、民族の文化・歴史をかなり総合的に展示している。
 この特別展とは別に、常設展でも、日本のコーナーが有る。最上階のいくぶん小さめのスペースなので、やっつけだったら悲しいな、と思いながら、
先に訪れてみると、驚いたことに、古墳時代から現代まで、かなりバランスよく展示されており、外人が大好きなサムライ文化、すなわち刀や武具などももちろんだけど、現代作家、たとえば九谷の現代ものや、民芸、そして写真なども展示されており、ちゃんと勉強されてるな(失礼か)という印象である。

 「外人」の好きな日本、というと、版画と根付、刀、漆、かろうじて琳派と墨跡、若冲、てな感じで、古筆とか、近代日本画なんて眼中にない、ことが多いと思う、残念ながら。
でも、イギリスのこの博物館は、日本人はいったいどのような成分で出来上がっているか、本当に興味があるように思える。嬉しいと思う。

 ロンドンでは、この博物館以外に National Gallery など、大きな美術館を見て回ったが、イギリス芸術も、ヨーロッパ芸術も、圧倒される素晴らしさであった。郊外の街並も歴史をたたえて素晴らしい。

日本とイギリス、日本と○○国。お互いが真摯に相手の文化に興味を持って向き合う事は、真の理解につながる。世界は、度重なる戦争を経て、今の秩序に落ち着いた。その間に、理解も深まったが、逆に溝が埋まらない部分もある。芸術や文化が、互いの国の敬意に深く結びつくといいけれど。今回の展示も、大英の常設も、そうした願いを込めたもの、と考えたい。

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