今年の展開
2016/07/09
このブログではあけましておめでとうである。
昨年は、日本自体が大変な事になってしまった年であったが、私自身も、個人的に大きなプラスとマイナスの事件が起こる非常に変化に富んだ年であった。
美術の世界も、おそらく転換期に来ているように思う。
江戸期から明治維新を迎えて、日本人は、「日本」の美術とは何なのか、という自問自答を迫られた。そのなかで岡倉天心の理念などを理論的支柱にしながら、「日本画」が曖昧ながら一歩を踏み出した。同時に日本の洋画も「文人画」的な詩想を持ち込むことで日本人のアイデンティティを下支えした。
しかし、戦後のはなやかな時代を経て「巨匠」たちを生み出した美術も、写真・映画などのメディアが発達し、さらには思想の絶えざる変化を直接的につきつける現代アートがリアリティを獲得しようとするなか、あえいでいる。
美術画廊は、得意科目に細分化して、棲み分けしているのがフツウである。ただ。自分のジャンルに安住して、どこかの村社会のなかで閉じている美術は、おそらく美術であることを自ら捨てている。
古筆にしろ、土佐派にしろ、応挙・若冲、大観、梅原、だれにしろ、新しく人の心をつかむものは、時代の美意識を早く掴んで、他のジャンル、あるいは社会につきつけた存在だっただろう。
21世紀を迎え、この時代に何をやることが「正しい」のか、誰も答えを持っていない。画廊も美術家も、簡単には食えない。だが、面白い時代ともいえる。バブリーな欲望とは無縁の場所で、新しい芽吹きが、少しずつではあるが、ある。
秋華洞のやることの主軸は、奈良・平安あたりから始まり、鎌倉・室町で発展し、江戸で熟成し、明治であらたに変化を遂げた美術の、先鋭なる諸相と、おきすてられた数々の心の宝をささやかながら再提示することであるが、同時に、過去のよきものに通ずる現代の魂も紹介していくことでもある。
・・・なんかたいそうな口調になった・・しまった。
ふるいものをやっているなかで見ている眼で、現在進行形の絵画を見ていると、おのずと見えてくるモノがあります。現代アートなんてのも、「未来の骨董屋」から見ればアンティークなわけで、ボクは今も昔もみーんなアンティークとして通用するの?という眼で見たいと思っています。
本年は、デパートさんへの進出が予定されており、一方で、海外への進出をねらっています。さらに本年中に田中の書籍企画をやったり、非公式な塾の開講も予定しています。
まずは、3月の8日から12日、「銀座室礼」グループの企画として、大丸心斎橋店に出展予定。
3月30から4月1日はアートフェア東京。「ゆびのは」の再逆襲としてあらたに人物画の驚くべき才能が登場する予定。
カタログの次号はちょっと未定ですが、夏までに1,2号出せるよう頑張ります。
最新号30号はこちら。
一方で、「銀座室礼」のVol.5は準備中。5月に発行予定。
池永康晟と阿部清子が両者とも今年は倉吉美術館の
「トリエンナーレ美術賞 菅楯彦大賞展」に挑戦。34名の推薦された候補者のなかに名前があがりました。大賞を手にするのはひとり。さてどうなるか。
ことしはウチのウェブサイトも進化の予定。とりあえずは、スタッフブログ、ものすご更新してます。
日英のメルマガも、週一で頑張ってます。
「日本美術そうだったのか通信」
「Shukado Newsletter」
バックナンバーページないが申込みは
このバックナンバーページがなかなか作れていないのが悩みの種。
ともかく、今年も頑張りますので、どうかよろしくどうぞ!
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