ゆびのは終えて
指派(ゆびのは)展は無事終わった。
こういう複数人数展覧会のいいところ、それはお互いに刺激になることだ。
出展した画家の其れぞれのファンのお客さんが来て、その情熱や喜びを感じ、
他の画家のファンが来ると、少しうらやましかったりもするだろう。
考え方の成長や矜持に触れて、姿勢があらたまることもある。
指派の作家は、とてもとても謙虚だが、しかし、自負はそうとうなものだ。
阿部さんも、池永さんも、他者の批評は的確で、鋭い。とくに池永の言葉の正鵠ぶりには感心させられることが多い。
彼は普段とても言葉少なだが、トークショーでは、はりきって随分雄弁に話してくれた。
何故、自分が絵を描いているのか、ということなど、ユーモラスに蕩々としゃべってくれた。
彼は、女の、もっとも壊れやすい喪われやすい瞬間を、自分の手にしか遺せないその息づかいを、
画面に封じ込める作業をしているのだ。それは教室でノートに斜め前の席の女の子の耳をうなじを
スケッチしたときの気持ちからかわらない。
彼の言葉はある種の露悪性というか、装飾性を帯びるので、驚いた人もいるかもしれないが、何よりそうした心を最優先した生き方を貫いている
ところに彼の凄さがあるのである。
来年のアートフェア東京2011でも、指派は、やる。
乞うご期待である。