銀座の画廊<秋華洞>社長ブログ

美術を通じて日本を元気にしたい! 銀座の美術商・田中千秋から発信—-美術・芸術全般から世の中のあれこれまで。「秋華洞・丁稚ログ」改題。

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幸せ論議、勝間さんとひろゆき、水木しげる

   

GW明けはさまざまな仕入れの市が目白押しである。昨日はかなり特殊な面白いものも入手した。カタログに乗せる運びになるかどうかはわからない。さまざまな歴史的な事実の「生の証拠」に出会えるのもこの仕事も妙味である。そしてお客様と共有できれば何よりだ。

さて、「勝間」さんと「ひろゆき」がテレビ番組で『激論』したそうだ。このブログの読者(がいるとすれば)にはあまりどうでもよいテーマかも知れないのだが、すこし補足しておくと「勝間」さんは昨年あたりから非常に本が売れて話題になっており、今年辺りからはTV出演も多い「経済評論家」、「ひろゆき」はネット巨大掲示板の創業者(元管理人)にして今や国会中継もある動画サイト「ニコニコ動画」の発案者、だと思う。

「ひろゆき」の、のらりくらりとした2ちゃんねるの運営は、私には全くの「新人類」とうつるけれども、「2ちゃん」「ニコニコ」の圧倒的な支持を勝ち取ったセンスと行動力にはやはり感心するしかない、と思っている。「勝間」さんの、いくぶん議論と主張が表層的・感情的・場当たり的な面はあるとしても、そのスピードの速さは偉いものである。

で、このふたりが、あるTV番組で、ネット掲示板の匿名性は是か非かみたいな話しをしているのであるが、噛みあっていない上に、勝間氏の態度が批判の的になっていて、そうとうに分が悪い。

文字おこし
http://d.hatena.ne.jp/wt5/20100503
http://d.hatena.ne.jp/Tariki/20100504/p1

ひろゆきブログ
http://hiro.asks.jp/68256.html

勝間ブログ(コメント欄がすごい)
http://kazuyomugi.cocolog-nifty.com/private/2010/05/52-7a45.html

僕は判官びいきに心理が傾くので、ちょっと彼女に同情的になってしまうのだが、ネットの「匿名性」といいますか、2chの匿名性はヤダなぁ、とかねてから思っていたところに、その思いを共有したような[mixi]が出てきたり、あるいは彼女の「クロストーク」企画みたいなのが出てきた。

ネットでは、相手がどういう人かわからない。年齢も性別も、属性も経験も。そんな場所で生身の感受性で他人と向き合うと、疲れるし、傷つく、あるいは傷つけてしまうことがある。あるいは、記名していてもあるのだけどね。だから、ある程度安全で、紳士的な場所を作りたい、という気持ちは理解できて、そういうサイトもSNS含めこの数年でずいぶん出てきた。自分もかつてmixiなどなかった頃試みて挫折した経験があるので、そういうサービスを始めた人には敬意を持っている。

だけど、それをあの「2ch」をやっていた「ひろゆき」に直接ぶつけても無駄だ。彼には彼の感受性とリアリティがある。げんに「2ch」には社会的存在価値だってある(負の面があるとしても)。そこは「女性」の限界を感じてしまうところだ。「価値観」「幸福感」の違いはそれぞれある、という「ひろゆき」の説は十分うなずける。けれどもまた、どこか人類共通の「幸福」もあるんじゃないカナ、と考えてみるのも僕は面白いと思うので、「ひとそれぞれ」で思考停止するのも好みじゃないけれど。ま、げんに「ひとそれぞれ」のウチのこれ、というものを打ち出すために、様々な人が様々なサービス(アイフォーンとかニコニコとか画廊とか映画とか)を生み出していて、彼らふたりも「それぞれ」に打ち出しているのだけども。

「幸せ」とは何か、と聞かれた「水木しげる」さんが、週刊誌のインタビューで「本当に幸せな人は、幸せとは何か、など考えない。考えてはいけない」と答えていた。うふふ。そうかもなあ。そういう幸せな人っているよなあ。でも「幸せを考える「幸せ」」だってあるんだもんね。少なくとも、「幸せってこうだとは決めれらないけど、少なくともこういうことはあるのかな、」という態度で、企業経営でも国家経営でもしなくちゃあならんと思うけどな。

 - 世間の出来事, 読書