銀座の画廊<秋華洞>社長ブログ

美術を通じて日本を元気にしたい! 銀座の美術商・田中千秋から発信—-美術・芸術全般から世の中のあれこれまで。「秋華洞・丁稚ログ」改題。

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Google,AJAX,日本の未来

   

「IT」といえば、みなさん、Googleの技術、おしなべて言えばAJAXの技術、別の言葉で言えば非同期通信の技術の凄さを実感しておられるだろうか。ま、ネットのヘビーユーザーなら誰でも知っているだろうが、一般の方は「はあ?」という話題だろう。グーグルマップでは、地図をグリグリと連続的に操作でき、Gmailでは例えば「星」印をリアルタイムに付けたり消したりできる。これは数年前では考えられなかった技術。そこいらのソフトハウス100社に依頼してもできません、と5年前だったら言っていただろう技術であり、しかも今でも70%のソフトハウスはできないのじゃないかと思う(嘘だったらゴメンナサイ)。今はAJAX、あるいは非同期通信の技術はYahooなど他のポータルサイトでも使っているが、注意するといい。それらは100%「後追い」である。彼らが機先を制して採用した技術はほぼ、ないであろう。

もとプログラマーを標榜している私なのだけど、サーバーとクライアントのやり取りについて例えばGMAILやGoogleMAPについて、零から作れといわれても、さっぱり見当がつかない。最近のGoogleMapについている、最短距離検索については、なんと経路をドラッグしてリアルタイムに条件を変更することができる。あれは従来、「途中立ち寄り箇所設定」という面倒なことをしなければできなかったことだが、いとも簡単に処理してしまう。あれは日本のあらゆるプログラマがお手上げの技術ではないだろうか。

ほぼ全世界の「検索」と「広告」を手中に収めようとしているGoogleの資本力と技術力の堆積に指をくわえて見ているしかないのだろうか、という状況である。先日、武蔵の同級生のひとり、昔将棋が死ぬほどつよかった男が転職入社した事を聞いた。まあああいう天才は役に立つであろうと思う。昔僕も流れ的にあそこに入る事になるだろう面接を受けたことがあったが、幸か不幸か英語力不足で落ちた。プログラマと「言語」の解析に一身を捧げるのも面白かっただろうが、今のような人間味の有る仕事のほうが結局は向いていたようにも思うが、人生はわからない。

日本にどうして独自のIT技術が育たないのだろう、それは「哲学」や「根本」を議論しないで済ませてしまう戦後日本のビョーキ、それは前に書いた大学の空洞化と同根、という嘆き節を展開することにこの記事はなるのだろうけど、読む人は毎回同じ結論では退屈であろう。

もちろん、日本人にも優秀な人はいる。

坂村健「TRON プロジェクト」


まつもとゆきひろ「Ruby」

で、
まつもとゆきひろ コードの世界~スーパー・プログラマになる14の思考法 (単行本(ソフトカバー))

という本を立ち読みで(失礼)、読んだ。Ajaxに対する言及が、わかりやすくて、面白い。コーディングとかコンピュータを基本から理解していて、きちんと語ることのできる人の言葉は、心地よい。案外日本人でこういうドキュメントの書ける人は少ない。



Ajaxの解説という意味では
Nakajima Satoshi 中島 聡 という人がブログで「AJAXの本質」という記事を書いている。
http://satoshi.blogs.com/life/2005/06/ajax.html


わかりやすくて、よい。このNakajimaさんもナニゲにスゴそうな人。
「日本語とオブジェクト指向」    

とか、

「もし日本のメーカーが iPhone を発売していたら」

とか、ユニークかつ丁寧なエントリが満載。

で。ここにも日本的発想への揶揄がある。

日本文化発信をやろうとしている私が、日本的な過ちについてばかり発信していることになるのは皮肉なことだ。だが、日本の「今」が強くならなければ、「日本文化」も弱体化する恐れがある。もちろん「今」が落ちていくことで「過去の栄光」にすがるケースも有るのだろうが、それもどうも不健康である。やはり「今」も「過去」も「未来」にも「希望」がある、という道に加担したい。

 - ちょっと専門知識