カンブリア宮殿という本
2016/07/09
村上龍のカンブリア宮殿、の本を読んだ。
テレビは時々見ていたが、本のほうは、また村上龍の商法に乗せられるのは面倒くさいな、と思って避けていた。が、たまたま手にとって、読んだらつい、感動してしまったので、買って読んだら、さらにおもしろかった。
村上龍は非常に好きな作家である。2チャンネルか何かに、時代と寝る男、と中傷されているのを読んだ事がある。確かに、小説家、というより、時々に必要とされる、情報や、視点に常にシフトしている人である。でも、その時代に私が必要としている視点や情報を実際にもたらしてくれていたのは事実。
村上龍は信用しないほうがいいですよ、とこないだある人に言われた。なんとなくニュアンスはわかる。でも、別に彼が言うメッセージに全面的に乗る必要はないし、誰の言うことであれ、素直に聞いて自分で判断する、という事を貫けばよいのである。たとえば、彼が呼んだカンブリア宮殿のゲストのすべての人が、本当に成功した見習うべき人かどうか、は自分で判断するべきだろう。でも気がつくと、オフィシャルに認められた人、と判断してしまいがちなのである。メディアに簡単に洗脳されがちな自分だからね。たとえばそういうことを警告してくれた彼は言っているのだと思う。
前置きが長くなった。
ともかく、この本はおもしろかった。しかも、本なので、テレビでは十時間くらいかかるところを、二時間くらいで読める。
どの社長のインタビューもおもしろかったが、ちょっと目から鱗だったのは、縄文という名前のヘッドハンティングの会社の社長さんの発言。真のリーダーは、九十九人を食べさせるために、自分が飢えても努力をいとわない人。ピラミッドの頂点でなく、底辺で全体を支える人。なるほどー、真実かもしれない。
彼の発言のなかで、硫黄島の戦いに触れていた。ラストサムライや、イーストウッドの硫黄島シリーズが、なぜあんなに受けたのか。人の上に立つ「武士道」でなくて、人をささえる「武士道」のようなものが人の心に触れた、という事だ。
硫黄島の戦いで、米軍に頑強に日本軍が抵抗したことで、アメリカの知識人は日本を怒らしたらまずい、という事を学び、こんなに情けない日本だけど、ある程度世界に認められているのは、あの戦いがあったからだという。あの映画や、小林よしのりの主張を見て、現場の兵士の「日本」彼らの絶望的な戦いが決して無駄ではなかっ
カンブリア宮殿 村上龍×経済人
た、という事をこういう経済人が語る、ということに思わず感動した。
ところで、村上龍が偉いのは質問力があるところだ。紋切り型のどうでもいい質問があまりない。というか質問力に関しては非常に厳しい人ですがもともと。
この番組で、なにより素晴らしいのは小池栄子さんの質問。え、それ聞いちゃうかね、と、いうことをズケリと聞いてくれる。もう大好き。あの西ヤン(西田敏行)との即興的に見えるビールのコマーシャルも好き。
「競輪場にいってエイコ」というコミカルな競輪のCMがわずか数年前で記憶に新しいが、こんなにおもしろい人であることを誰が見抜いていたのか。
(話が飛ぶが、こないだ見た映画(転々)でも、小泉今日子がめちゃくちゃいい味出してた。イイオンナ、いいふけ方。さすがだなあ、キョンキョン。)