「谷文晁とその一門」展板橋区立美術館
に、家族といってきました。
やっぱり美術は現場に行ってみるべきモノである。
とくにですね、こういう谷文晁など、江戸期古画は実物力の世界。
先にウチの中島君が行って図録を買ってきたいたので、ぱらぱらとは画像を眺めていたのだが、やっぱりね、それだけじゃあ、わかりません。
だけど、いっつも思うことだけれど、この板橋区立美術館の展示は、いい。
基本的に、子供向けをハッキリ意識して、解説を書いている。完全に小学生向け。5年生くらいかな、感じとしては。
けれど、僕らがフツウに話すときの会話って、やはり五年生くらいにわかる会話でやってますよね。「色が綺麗」とかね。ムツカシイ言葉を使うから、絵が「わかる」ということとは関係ないもの。
だから、この展覧会の「解説」は、学芸員が一緒に回ってお話ししてくれているみたいな感覚である。
さて、谷文晁という人は、書画屋に取って困った存在である。だって、もう、贋物だらけだもの。どれだけ「文晁」という落款の作品が私の僅かな経験の中で、通り過ぎたかわからない。面倒なことに、彼の作品は、絶対的な特長がない。いや、彼の作品とされるモノと言った方がいいか。ともかく、中国画風アリ、ナンピン画アリ、大和絵あり、えーかげんな水墨アリ。
(たとえば若冲なら、まあダイタイ画風というものがある。極彩色の花鳥画が代表だけど、まあそんなに世の中にあるモノじゃない。たいていは水墨の機知に富んだ花鳥、人物、そして色のついたかわいい小僧さんの絵。だから偽物もそれを真似ている。)
ブンチョウの場合、本物の本人じたいが自由自在、えーかげんといえばエーカゲン、なんでもあり。だから贋物も色々あり。
今回は本物と評価されている、いろんな時期のいろんな作風が一度に見られる貴重な機会である。うまいナー、素敵だなー、迫力あるナー、と非常に見入って退屈しない。お弟子さんたちもそうである。各種の画風が入り乱れている。
世の中には二通りの作家さんがいる。弟子がたくさんいて、多くの弟子が発展して、次の世代にさらにつながる人。反対に、一匹狼の人。(その中間とか、本人はたいしたことないけど、弟子がたくさんいるとか、いろいろいますが)前者の近世の代表が谷文晁と円山応挙だろうし、その近代の代表が竹内栖鳳、じゃないでしょうか。
まあしかし、こういう展覧会が出来るくらいに作品をたくさん持って、涼しい顔をしていられる、高等遊民ならぬ高等美術商に、なってみたいものである。
ところで、面白い、おうちに飾ると楽しそうな作品をひとつあげてみよう。
鈴木鵞湖の蓬莱山(画題はちょっとメモしなかった)細密描写の仙人群像。これでもか、というぐらいにユーモアたっぷりかつ真剣にファンタジーの世界に遊ぶ作品。ウチの子供たちが読んでいる絵本で「バムとケロ」「ガラゴ」シリーズ(しまだゆか)というのがありまして、ストーリーとは全く関係ないところで、キャラクターがひたすら遊んでいる絵本があるのだが、それの元祖みたいな作品ですね。
江戸期から明治にかけての文化の爛熟期から革命期、面白いですよねえ。おもしろまじめといいますか。まあそう感じさせる板橋のセレクションもあるわけですけれども。
秋華洞も頑張りますので応援して下さい。
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