銀座の画廊<秋華洞>社長ブログ

美術を通じて日本を元気にしたい! 銀座の美術商・田中千秋から発信—-美術・芸術全般から世の中のあれこれまで。「秋華洞・丁稚ログ」改題。

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MoMA

   


この日は、MoMA、ニューヨーク近代美術館に行く。

 

日本人建築家による新装なったばかりのこの美術館は、月曜日にもかかわらず観客が多い。やはり世界中から観光で集まる人も多いせいだろうか。モネ

 (モネの睡蓮)

ちなみにこの美術館は、他の美術館がみな月曜日に休む裏をかくように、火曜日休みにしている。これは正しい。おかげで限られた時間しか持たない私のよジャコメッティうな旅行者でも時間を無駄にせずに見に来られる。

 (ジャコメッティ)

この新しい美術館はさすがに清潔で、機能的で、広く、快適である。コンテンポラリーアートの大半は、大学生が実験的に観客に甘えて作りました、わかってちょうだい、というような作品が大半だから、見るのにエネルギーがいるが、空間がゆったりとってあって、わりあい楽ウォーホールしんでみられるように出来ている。東京で同じカテゴリに属するところの東京都現代美術館はあまりにも立地が悪いので、行くだけで疲れてしまうが、この美術館はNYのどまんなか、立地も申し分ない。

 MoMA中庭(ウォーホール・キャンベルスープ)

そもそもNYの美術館はロックフェラーなど、資産家などの有志が創設した物が大半で、私設ならではのポリシーを感じさせる。

 

 (MoMA中庭)

オーディオプログラムといって、いくつかの作品の解説を日本語で聞くことができた。しかし、率直に言って、60年代、70年代のいくつかの抽象・実験的作品の解説は聞く工業デザイン1に堪えない屁理屈の繰り返しに聞こえた。翻訳調の文体に

 

(工業デザインの紹介)
も問題があるのだろうか、工業デザイン2「極めてすばらしい」「驚くべき」「色」「線」など、描写が大げさで、信用に足らない解説である印象を受けた。

 

感情に訴える部分が少ない作品は、屁理屈でわからそうとする。あるいは、屁理屈そのもので作品が構成されている。この時代に世界が経ボナール験した「学生運動」の内容の空疎さと、実験的美術の空疎さは連動しているようにも思う。ただ、世界が経なければならなかった、未熟な「青春(ボナール)

時代」として私は考えている。展示風景

 

 

(展示風景・中央はダリ作品)

 

 

 

 

 

夕方から、ダウンタウン、SOHO、イーストビレッジ、などを歩いた。

 

ダウンタウンのすさんだ通りでは、自分の服装(セーターとコーヂュロイのズボン)が妙に浮いて思えて、危険に感じた。しかしどこをどう通れば危険を感じずに済むのかよくわからない。一人で歩くのにはチトおっかない場所であるように思う。NY在住の人でも、●●丁目以南は行かない、と決めている人もいるという。

 

夜飯は結局エンパイアステートビルの一階のビアホールのカウンターで取る。カウンターのお姉さんはなかなかに身のこなし表情がかっこいい。適度に愛想もいい。英語で冗談の一つも言えない自分の英語力がつまらない。

 

 

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