棟方志功の高価買取|評価のポイントと価格相場を銀座秋華洞が解説します。
人気の図柄の場合は高く買い取ることができます。ここでは査定のポイントや相場について解説。
青森市に生まれる。1928年、第8回日本創作版画協会展、第6回春陽会展に版画が入選、又第9回帝展に油絵初入選。この頃から版画へと興味を移し、本格的な木版画制作を始める。1936年、柳宗悦、河井寛次郎らと民芸運動の人々と知り合う。これは以降の棟方芸術に多大な影響を及ぼす。1938年、第2回新文展で特選。1941年、第5回佐分賞受賞。1952年、第2回ルガノ〈白と黒〉国際展で受賞、日本版画協会を脱会し、日本版画院を結成。1955年、第3回サンパウロ・ビエンナーレで版画部門最高賞を受賞。1956年、第28回ヴェネチィア・ビエンネーレに「湧然する女者達々」などを出品、国際版画大賞受賞。 1960年、アメリカ各地で個展を開催。1970年、文化勲章受賞。
棟方志功作品の中で高く売れる図柄は?
500万~1億超えの逸品も!
「日本のゴッホになる」と誓いをたてて、郷里の青森県から上京した棟方志功は、始め洋画家を志していました。
20代後半から木版画の道に転じ、「板画」(はんが)と称する独創的な作品を次々に発表していきました。
棟方自身の純粋無垢な人間性が作品にもにじみ出ていますが、文筆家や陶芸家、詩人ら民芸家運動家たちとの交流も豊かな想像力や多面的な色彩を生み出す作風に大きな影響を与えたと言われています。
〈大首絵の美人画シリーズ〉
棟方志功の代表作は、何と言っても女人をテーマに構成された作品のシリーズですが、女性の顔を大きく描いたいわゆる大首絵の独特の美人画シリーズは最も人気があります。「くちなし妃の柵」、「門世の柵」、「弘仁の柵」、「沢潟妃の柵」などふっくらとした女性の顔をえがきながら、季節の花や詩も織り込まれています。
擦りの状態がよく、彩色の濃い色味の作品となると、評価額は200万から500万以上する逸品もあります。
健康的で豊かに描かれている女人は棟方にとっての理想的な姿であり、ビーナスのような存在であったと思われます。
余談ですが、板画の素地には、半紙のような棟方独自の薄紙を用いていますが、多少の経年劣化などでシワ、オレなどがあっても修復せずにシワシワのままにしておいてください。
裏打ち等でピンと伸ばした作品も見かけますが、棟方志功の独自の風合いが損なわれ、評価が低くなる場合があります。修復や額装などについてもアドバイスさせていただいておりますので気になる点はご相談下さい。
〈釈迦十大弟子シリーズ〉
この他、観音様の全身像に彩色した作品や、釈迦十大弟子シリーズも大変評価が高いです。こちらのシリーズは日本神話やインドを旅行した際の寺院壁画などの影響を受けたとされています。
十大弟子とは釈迦の弟子の中で優れた10名のこと。
「目鍵連」、「舎利弗」、「優婆離」、「須菩提」、「阿難陀」、「羅睺羅」、「魔訶迦葉」、「阿那律」、「富楼那」、「迦旃延」を指し、その両端に「普賢延命菩薩」と「文殊止利菩薩」が配されています。
1956年ヴェネツィア・ヴィエンナーレで絶賛され、日本人初のグランプリを受賞した記念すべき作品です。12作品全て揃っていて、かつ擦りの良いものとなれば、現在なら1億超えの評価も過言ではないでしょう。
棟方志功の肉筆と板画(版画)のどちらが高いのか
棟方志功の作品は、板画(版画)の他、肉筆の絵画(倭絵・棟方はやまとえと呼んでいた)、油絵もあります。
画家を志した初期のころの油絵は珍しく、ミュージアムピース級のものもありますが、圧倒的に数は少ないので私どももめったに見ることはありません。
また倭絵(肉筆の絵画)も大首絵や仏画が多数描かれ、棟方の筆遣いがとてもよく表れた作品ですが、どちらが高いかといわれると、意外なことに、肉筆よりも裏彩色された板画の方が評価が高い傾向があります。
やはり海外のビエンナーレで棟方志功が板画(版画)で評価された為ともいえるかもしれませんが、板が削られ作品が刻み込まれる過程そのものが棟方芸術の神髄と言えるのではないでしょうか。
棟方の作品は、「〇〇〇の柵」と画題が付けられています。
棟方にとってこの「柵」の字は、囲いを意味するものではなく、四国の巡礼者が寺を廻るときに首に下げる廻札の意味を含んでいます。
1つ1つ自分の願いをそのお寺に納めるという意味を込め、1つづつ作品を置いていく、念願をかけて置いていくというお札のような願いが作品に込められています。
棟方志功の買取相場例
買取査定の前に鑑定を取った方がいいのか
査定依頼をいただければ、アドバイスいたします
棟方志功の場合は合同会社棟方志功鑑定登録委員会で鑑定・登録を再開いたしました。(2024年5月現在)
月に1度の鑑定で、受付開始日、受付締切日、鑑定品お渡し開始日がその月によって決まっていますので事前に確認が必要です。絵画骨董買取プロでは、東京までわざわざ出向かなくても、鑑定の受付代行も承っております。
また、棟方志功作品にはご子息の棟方巴里爾(パリジ)のシールが付いているケースもあります。
この場合には真筆の証明にはなりますが、昨今では、残念なことにこのパリジシールの贋物も出回っているので、
いづれにしても、あらためて棟方志功鑑定登録委員会の登録を取得する必要があります。
また、万が一贋作という結果でも、鑑定料等の実費は支払わなければなりません。
私どもに事前に査定依頼をいただければ、鑑定に出したほうが良いかアドバイスすることができます。
また、最近では、安川電機さんの発行された複製画(印刷画)を持ち込みになるケースも非常に増えています。
こうした事例も含めて、経験豊富な絵画骨董買取プロ・銀座の秋華洞にご相談ください。
真筆の場合は登録番号札と割印が押されます。
共シールの有無など条件によって多少金額が変わってきますが、鑑定書取得に2~3万、残念ながら贋物だった場合も鑑定代として1万円かかります。
また、既に鑑定登録済みの作品でも、再鑑定が必要な場合もあります。
棟方志功鑑定:合同会社棟方志功鑑定登録委員会
>>2024年5月現在、棟方志功の鑑定は再開しております。ただ、大変混み合っているので、かなり時間がかかる見通しです。まずは弊社(絵画骨董買取プロ・銀座秋華洞までご相談下さい。)
棟方志功の作品例一覧
棟方志功作品の相続でお悩みの方へ
絵画骨董買取プロ(秋華洞)では、棟方志功作品の買取だけでなく、美術品の査定評価書の作成も行っています。
個人のお客様の場合、相続に関する手続きや申告の際にもお使いいただける正式なフォーマットで、実際に換金可能な金額を盛り込んだ「美術品評価報告書」としてご回答させていただきます。
また、企業・法人向けサービスでは、資産管理のための報告書をおつくりいたします。(ご指定の様式に準じます)本社の他、支店や保養所にお伺いして、美術品管理方法のアドバイスも行っていますので、お気軽にご相談ください。
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棟方志功の生い立ちと芸術
棟方志功の生い立ちと芸術
棟方志功の版画(板画)および倭絵(肉筆日本画)、あるいは油彩画の価格は、生前それほど高いものではありませんでした。しかし、死後どんどん評価は上がり、大首絵などは簡単に入手できる金額ではなくなっていますが、それでもなお大変な人気があります。なぜこれほどまでに彼が多くの人を惹きつけるのが、その紹介から秘密をさぐってみましょう。
生い立ちと初期の活動
棟方志功(明治36年9月5日 – 昭和50年9月13日)は、青森県青森市に生まれた日本の著名な版画家です。父親は刀鍛冶職人の棟方幸吉で、志功は15人きょうだいの三男として生まれました。幼少期から家業を手伝う傍ら、祭りの灯篭や凧の絵に魅了され、次第に絵画への情熱を育んでいきました。明治43年に長島尋常小学校(現青森市立長島小学校)に入学し、幼少期から絵を描くことに魅了され、自然美や人工美に関心を持つようになりました。
大正4年、棟方が12歳のとき、青森市の善知鳥神社の祭りで見た灯篭の絵が彼の芸術的な目覚めの一つとなりました。また、近所の絵師が描いた凧の絵にも強く影響を受けました。これらの経験を通じて、彼は自然の美しさだけでなく、人間が生み出す人工の美にも強い関心を持つようになりました。
東京での修行と木版画との出会い
大正10年、18歳の棟方は絵画の道を追求するために東京に上京しました。彼は親友とともに「青光画社」という洋画グループを結成し、展覧会を開催しましたが、当初は成功を収めることができませんでした。大正13年に中村不折に師事しようとしましたが、不在だったため、独学で洋画を学び続けました。
大正15年、棟方は川上澄生の版画「初夏の風」を見て深い感動を受け、版画家になることを決意しました。彼はその後、版画家の平塚運一に師事し、木版画の技術を学びました。棟方は独自のスタイルを確立し、力強い線と大胆な構図を特徴とする作品を生み出しました。
独自のスタイルと宗教的テーマ
棟方志功の作品は、力強い線と大胆な構図が特徴です。彼は特に仏教に深く傾倒し、多くの仏画を制作しました。昭和12年には「観音経板画巻」を制作し、初めて裏彩色の技法を用いました。彼の代表作「釈迦十大弟子」は、その宗教的な情熱を如実に示しており、仏教の教えと自身の宗教的探求を反映しています。
棟方はまた、「倭画」(やまとえ)と呼ばれる独自のスタイルの水彩画や墨書も残しています。彼の作品には、宗教的なテーマが多く取り入れられており、特に仏教の教えに基づいた作品が多いです。彼の宗教的な探求と深い精神性は、作品を通じて多くの人々に感銘を与え続けています。
民藝運動と文学者との関わり
棟方志功は民藝運動の中心人物である柳宗悦や、文学者の谷崎潤一郎との深い関わりがありました。
柳宗悦との交流を通じて、棟方は民藝運動の理念に共鳴し、作品にその影響を色濃く反映させました。柳宗悦は、棟方の作品を高く評価し、彼の作品を広く紹介するための展覧会や出版物を通じて支援しました。
また、谷崎潤一郎とは親交が深く、彼の文学作品に触発された作品も多く制作しています。谷崎の詩や小説を題材にした作品は、棟方の独自の視点と表現を加えることで、新たな芸術的価値を生み出しています。こうした文学者との交流は、棟方の創作活動に大きな影響を与えました。
海外での評価と受賞歴
棟方志功の作品は国内外で高く評価されました。昭和27年にはブラジルのサンパウロ・ビエンナーレで国際的に注目され、昭和30年にはヴェネツィア・ビエンナーレで国際版画大賞を受賞しました。これにより、彼の名声は世界中に広がり、多くの美術館に作品が収蔵されることとなりました。
彼の受賞歴は非常に多岐にわたります。昭和26年にはスイスのルガーノ国際版画展で優秀賞を受賞し、昭和31年にはヴェネツィア・ビエンナーレで「湧然する女者達々」が国際版画大賞を受賞しました。これらの受賞は、彼の作品が国際的な評価を受ける重要な契機となりました。
晩年とその影響
棟方は晩年まで精力的に作品を制作し続けました。彼の作品は日本の伝統的な美術の要素を取り入れながらも、独自の表現方法を確立し、多くの後進の芸術家に影響を与えました。昭和50年に東京で亡くなりましたが、その作品と影響は今もなお多くの人々に愛されています。
彼の晩年には、多くの展覧会が開催され、国内外での評価がさらに高まりました。彼の作品は、宗教的なテーマや人間の精神性を深く探求するものであり、多くの人々に感銘を与え続けています。彼の死後も、多くの美術館やギャラリーで作品が展示され、その影響は今もなお強く残っています。
影響と評価
棟方志功の影響は日本国内にとどまらず、世界中の芸術家に及びました。彼の作品は単なる技術的な美しさだけでなく、深い精神性と宗教的なテーマが込められており、多くの人々に感銘を与えています。また、彼の木版画は伝統的な技法を現代に蘇らせるとともに、新たな表現の可能性を切り開きました。
棟方の作品は、日本の伝統美術と現代的感覚の融合を感じさせるものであり、その独自の表現方法は多くの後進の芸術家に影響を与えました。彼の作品は、今もなお多くの人々に愛され、影響を与え続けています。
生涯と活動
棟方志功はその生涯を通じて木版画という媒体を用いて自己表現を追求し続けました。彼の作品は力強い線と独特のスタイルで知られ、宗教的なテーマや人間の精神性を深く探求しました。国内外で高く評価され、多くの賞を受けた彼の作品は、今日もなお多くの人々に愛され、影響を与え続けています。
主な展示施設
棟方志功記念館
青森県青森市に位置し、彼の作品を多く展示しています。この美術館では、棟方の生涯と作品について詳しく学ぶことができます。
東京国立近代美術館
東京に位置し、棟方の代表作を所蔵しています。ここでは、彼の多くの名作を鑑賞することができます。
南砺市立福光美術館
富山県南砺市に位置し、彼の作品や資料が豊富に展示されています。ここでは、棟方の創作活動の背景や影響について深く学ぶことができます。
これらの施設では、棟方志功の多彩な作品とその芸術的な歩みを鑑賞することができます。彼の作品を通じて、日本の伝統美術と現代美術の融合を感じることができるでしょう。
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昭和40年京都生。東京大学文学部心理学科卒。映画製作、農業、SEを経て家業の美術商となる。京都・思文閣美術の創業者・田中新を祖父、同社元副社長の田中自知郎(京大)を父とする。日本の美術を世界に広める事を通して、世界がよくなることを目標としている。美術業界で東大は珍しいが、東大でも美術の世界に行くのは稀。
美術商交友会理事長 / 全美連理事 / 国際浮世絵学会理事 / 交換会松風会主 / 東京美術倶楽部、築地ロータリークラブ所属
『アートコレクター入門』平凡社 令和6年 田中千秋著(弊社代表)
美術品・骨董品を「買う」ところから「売る」ところまで、さまざまな視点で解説したアートコレクションの入門書。アートの売買を通して主人公が成長する物語として書かれている。アートコレクター、アーティスト、美術館長、画商など専門家にも好評。アーティストになるための入門書としても読まれている。
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