絹谷幸二
きぬたにこうじ1962年東京芸大油絵科入学、1966年卒業制作で大橋賞受賞、同大学院壁画科に進学。1968年大学院を修了し、同大副手となる。1973年文化庁よりローマ中央修復研究所に派遣され壁画保存の研究、同年高松塚保存対策委員として研究入室。独立展を中心に活動する。1993年から東京芸大美術学部教授。1998年の長野オリンピックではポスタ-を制作している。2008年東京メトロ副都心線の開通を記念して渋谷駅にパブリックアート≪きらきら渋谷≫(陶板壁画)を制作。2014年文化功労者に選ばれる。2021年文化勲章受章。
絹谷幸二 査定のポイント
絹谷幸二は、アフレスコの巨匠、ブルーノ・サエッティとの出会いをきっかけに、1971年にイタリアのヴェネツィア・アカデミアに入学、サエッティのもとでアフレスコ古典画法および現代アフレスコの研究に取り組みました。その後、日本でユーモアとエロス、そして旺盛なエネルギーあふれる、個性豊かな作風を確立し、押しも押されもせぬフレスコ画の巨匠として人気を博しました。
日本では「洋画」といえば「キャンバスに油彩」という固定観念がありますが、支持体もメデウムも自由に個性を追求することが大事であることを、自らの画風を作り上げる中で示した先生ともいえるでしょう。モチーフも大胆不敵、かつ日本人の典型の画題である富士を、優美で情緒的、雄大といった従来の属性を壊した形で、まるで生きて爆発するような金彩の富士を作り上げました。
芸大油彩画で学ぶ学生たちが現在、まったく型にとらわれない表現に挑むことが多いのも、絹谷先生が様々なものを突破してきた影響が少なくないのかもしれません。
色彩豊かで、エネルギーに満ち溢れた画面によって、独自の画風を確立し、油彩画の他にも素描や陶芸、ガラス作品に至るまで、多彩な分野で活動されています。
こちらでは 絹谷幸二 査定のポイントについて詳しく解説します
POINT 1
高く売れる図柄
絹谷幸二先生の場合は特に、富士などの山をあしらった作品の人気が高いです。日本の象徴でもある富士山と太陽、月を共演させた今までにないモチーフは絹谷先生が繰り返し描いていますが、実際のマーケットでもこの「日月富士」の図柄が特に人気があります。同じモチーフでも、色彩がよりクリアな発色で、金のマチエールが装飾的に進化していている、比較的最近に描かれた”近作”が市場では好まれる傾向にあります。。
2000年以降に描かれた作品は、より高く評価してお答えします。
一方で、ヌードや、セリフを書き入れた人物画、不動明王などの巨大な仏画などもしばしば描かれています。絹谷先生らしいフレスコ画的な面白い作風が特徴ですが、飾りやすさに少々欠けることもあり、同じ大きさの作品でも、富士や薔薇に比べると少し厳しい評価になるというのが実情です。
POINT 2
制作年代と評価額
「日月富士」のモチーフに次いで人気があるのが「薔薇」の図です。
中川一政も好んで描いていたマジョリカの壺に薔薇を活けた構図は、華麗に描かれ、背景の金地が装飾的な効果をもたらし、色とりどりの花びらが美しく描かれています。
前項でも記したように、絹谷先生の場合、近作のほうが評価が高くなる傾向があり、この薔薇のモチーフもやはり洗練されてきている為だと考えています。
近作の作品は、およそ2000年以降に描かれた作品を指します。またこのころから額もブラック基調のおとなしいデザインから、金彩を主体とする明るい色調のものに変わり、絹谷先生オリジナルの装飾的な絢爛な額に入っているものが近作です。額も見分けるポイントとなります。
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